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やがて店を出ると、今度はショッピングをすることになった。
私がねだったわけではないのだが、フェージャが「Aの物を買いたいのですが……」といってくれたのでお言葉にあまえたのだ。
「Aこれもきてください」
「ふふふ、似合ってますよ」
フェージャは私を着せ替えながらそう言った。
本当に私に似合っているのかはわからないが、フェージャがそう言ってくれるたびに私の鼓動は高まった。
結局、何店舗も回ってその全ての店で何かしら買うことになってしまった。
私は遠慮したのだが、フェージャの美貌と押しに負けた。
「はー!今日は楽しかったなあ」
「ふふ、喜んでいただけたようで何よりです」
二人でたくさんの袋を抱えながら歩く。
「ちょっとお手洗いいってくる」
「わかりました。ではここで待ちます」
フェージャは近くの椅子に座った。
私はそのままトイレに向かった。
トイレを済ませて、そこまでは良かったのだが、予想外のことが起きた。
「君かわいいね」
私がトイレから出て長い道を歩いているとチャラそうな男の人が話しかけてきた。
嫌な予感がしつつ「はぁ、」と曖昧な返事を返す。
早くフェージャのところに戻ろう。
だが、男は私のすげない態度が気に入らなかったのか、左手で壁をつき私の行手を阻んだ。
「……あの、急いでるんで……」
「いいじゃんちょっとくらい」
少しイラつき気味に舌打ちしながら絡んでくる男。ふとフェージャの方を見ると、さっきまではいなかった女の子たちがフェージャを取り囲んでいた。
「ほらほら〜」
ここで騒ぎを起こして警察に見つかるわけにはいかないし、かと言って一般人に異能を使うわけにはいかない。
私はフェージャの許可がない限り、極力異能を使わないようにしている。
フェージャに言われた時だけ。
これが仇になった。
ぐいっと強引に手首を掴まれる。どうしよう。
私が迷っている間にも男は進みだす。
「や、やめてくださ「ひっ」い……」
私が再び抵抗した時男が前で短い悲鳴をあげた。
「…………」
男の前にいたのはフェージャ。
それはそれはとてつもなく恐ろしげなオーラを放ちながら、黒い笑みを浮かべていた。
あまりの怖さに男は腰を抜かしていて、周りにいた女の人たちも後退りしている。
「ヒイッ!」
結局、男は腰を抜かしたまま四つん這いで逃げていった。

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ぷりん(プロフ) - ありがとうございます!! (2024年1月28日 23時) (レス) id: 3b75b2ea0e (このIDを非表示/違反報告)
匿名N - ( `ᾥ´ )クッ内容が神すぎる! (2024年1月20日 14時) (レス) @page20 id: b34786daa2 (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん - そんな嬉しいコメント下さる皆様が神なのじゃあああ!! コメント、ありがとうございます!今から更新します笑 (2023年10月29日 23時) (レス) id: b4f424253f (このIDを非表示/違反報告)
らっきー☆ - めちゃくちゃ最高な作品じゃあああ!!作者様、神ですか!?神ですね…。ドスくんかっこいいですし、作者様の文才も素晴らしいですし、、、幸せだー!!この作品作ってくれて有難うございます!!本当に! (2023年10月29日 16時) (レス) @page13 id: 65de01f0a1 (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん - 主とドス君の日常……書いてみます! (2023年10月9日 18時) (レス) id: d1167c1fd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷりん | 作成日時:2023年9月27日 22時