帆乃花、一日貸し出します。 ページ22
( Honoka side... )
「ねえ、スノのとこ、明日マネージャー足りないんだって」
「え？ いっぱいいるのに？ 」
「おつるとチーフしかいないらしい」
「二人か……フルで仕事なの？ 」
「明日に限ってオフいないんだって」
「やべ〜〜〜、しかもソロ仕事でしょ？ とんでもねぇ」
「それでね。明日私オフじゃん？ お前行ってきてあげなよ」
「はい？ 」
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万葵からその話を聞いたときには、既にアイツは私を貸し出すことを勝手に伝えていたらしく、どうにも私には拒否権がなかった。しんどそうなら私も行くよ！って言ってたけど大女優にやらせられるわけないだろって無理やり置いてきた。アイツは遠足気分らしい。
「おはようございまーす」
「帆乃花さん！ ひさしぶりですね！！ 」
「今日はありがとう！ ほんとに助かるよー！ 」
二人には私が新人時代に手厚くフォローしてもらった恩がある。万葵が先に言っていようが、私はきっとひとつ返事でOKしていたんだろう。
「今日のスケジュールは昨日共有しておいた通りだけど、何かわからないことはある？ 」
「あ、お昼についてなんですけど――」
ハイエースの運転はひさしぶり。まぁでも敏腕マネージャーと言われてる私ならなんてことない。新人のとき以来来ていなかったスーツをわざわざ引っ張り出してきたんだ、どんな無茶ぶりにも答えて見せようじゃないの。
「まずは佐久間と康二、……今は敬称で呼ぶべきか、いや、なんか気持ち悪いからいいや」
カーナビに沿って安全運転。家の場所覚えてないんだって思うかもしれないけど、いつ行くかも分からん家の場所を覚えておくよりも、万葵のスケジュールを少しでも頭に詰め込んでおいた方が使えるから覚えてない。万葵も下手なことがなけりゃ行かないし。
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作者名：風呂 | 作成日時：2023年1月18日 22時
