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「危うくコインパーキングで一晩過ごすとこだったよ〜」
「車がでしょ？ 」
「…………」
「え、」
一向に前室から出てきそうにないのを見兼ねたスタッフが、なんと宮舘涼太を派遣してきた。超売れっ子アイドルに何させてんねん。長年付き合いが長いからってタレントを雑に扱うな。
「涼太は家でいい？ 」
「あ、うん」
「なんか懐かしいね」
「懐かしい？ 」
「Aが死にかけてた時、涼太たちの送迎を何回か任されたことがあったの」
スノのマネージャーは帆乃花を足だと思ってる節がある。それはAD時代からそうだったらしい。
「マジでうるさいし香水くさいのなんのって」
「んふふ」
「しかも同僚にバレないようにするの大変だからさ、まーしんどいよね」
「ふっかと翔太が悪ふざけしてたからね」
「うわ、ダルいねそれ」
想像できてしまうのが怖い。
「あれ、てか今日は大荷物なんだ？ 」
「……まあそうだね。」
「地方？ 」
「いや、東京だよ」
「へぇー……珍しいね」
二人が話し込み始めて、ようやくスマホの通知に気づいた。ぶっ通しの撮影の中、スマホを見る余裕がなかったおかげで、通知がとんでもない事になっている。いや、にしては多いよな。
画面の明るさを最低にして目に突き刺さるブルーライトに目を細める。なになに？ 『明日用事ある？』だって？
「ねえ、涼太くん。康二くんからこんなLINEが来たんだけど、」
「ん？……あぁ、気にしなくていいよ、」
「気にしなくていい？ ほんとに？ 」
「うん。急用じゃないと思うし」
なんの余談もなく、ただ明日のスケジュール確認の連絡。それも康二くんだけじゃなくて他のメンバーからも。これだけ来てるのに急用じゃないなんて、そんな馬鹿な話あるわけないだろう。
「二人は明日……今日は何時から？ 」
「朝の6時。終わりはいつもより早いかな」
「大変だね、寝れてる？ 」
「まぁ〜……ギリ？ 」
「帆乃花は撮影中、私の楽屋で寝かせてるから何とかなってる」
「寝不足で事故はシャレにならないからね……」
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作者名：風呂 | 作成日時：2023年1月29日 15時
