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昔話に花を咲かせていれば、あっという間に焼きあがった。爪楊枝を差し込んでみても生地はくっつかない。よし、よく出来てる。
「私わかるよ、粗熱をとるんでしょ？ 」
「おっ正解」
「だてに涼太の手伝いしてないからね！ 宮舘だけに！ 」
「うっわ」
空気は冷えてもお菓子はまだ冷えていないので、粗熱が取れるまでラッピングの準備をすることにした。透明な袋に正方形の付箋、そしてホッチキス。半分に折った付箋を袋の上に被せてホッチキスで止めると、それだけでオシャレになる。そこにシールを貼ったりメッセージを書いてもいい。シンプルイズベストってやつだ。
「アンナちゃんに渡すんでしょ？ 」
「うん」
「喜ぶといいね」
まるで小学校のときみたいに一つ一つラッピングをしていく。アメリカと日本のバレンタインはちょっと違うらしく、男性から女性に渡すのがポピュラーらしい。ま、私はジャパニーズカルチャーという免罪符を振りかざして意地でも友だちに渡す予定なんだけども。
「帆乃花は誰に渡すの？ 」
「私もクラスメイトに渡そうかな。良くしてくれてる友だちがいるの」
「へぇー、友だちって帆乃花から言うなんてよっぽど良い人なんだ」
私は演技を学び、帆乃花は語学を学んでいる。事務所の計らいで、せっかくならマネージャーも好きなことしてきていいよ、と許可をもらった。おかげで毎日課題やらテストやらに追われていて大変そう。
「出来た。初めてにしては上出来なんじゃない？ 」
「うん、すごいよく出来てる」
「涼太に自慢しよ〜」
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作者名：風呂 | 作成日時：2023年1月29日 15時
