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初めて知った。そんな雰囲気なかったのに。というか、あの時は褒められたことに意識が持っていかれすぎて周りの空気に意識が向いていなかったのか。責任みたいなこと感じなくていいのに。
「佐久間なりの罪滅ぼしなんじゃない？ やり方はちょっと強引だけど」
「やりたくないならやらなくていいし、やりたいならやればいいし。決めるのは結局お前なんだから私はそこに口出しする気は無いよ。」
風呂入ってくる、と消えていった帆乃花。あれ、さっき入ってなかった？
「イヤモニの件。やらせてもらえませんか？ 」
本当はメールで送ろうかと思ったけど、面と向かってお願いしてくれた佐久間くんに失礼だと思って辞めた。
「ほ、ほんとに、？ 」
「えっ、泣かないでよ、」
大きな目から流れ出す涙。どーしてこんなに泣き虫なのかな、この子。
「俺っ、家に帰ってから、後悔してて、」
「うん」
「もしかしたらっ、まだ、怖いかもしれないのにっ、無理やりすぎたって、」
「うん」
「俺、おれ、」
どこまでも優しい佐久間くん。他人のために自分のプライベートでも思い悩んで、こうして沢山涙を流して。そんなに尽くせる人、そうそういない。
「大丈夫。別に怖くないよ。ただ勇気がなかっただけだから。」
「……」
「むしろ感謝してるの。踏み出すきっかけをくれたことに。」
「……っ」
「なーんもわかんないからさ、お手柔らかにお願いします」
「う゛ん゛、」
あぁ、私って恵まれてるんだなって実感した。今度の休み、大学時代の友達に会いに行ってみよう。今はイラストレーターとして仕事をしていたはずだから。
「あっ！！ 万ちゃんがさっくんのこと泣かせとる！ 」
「えっ、」
「あーー！ ダメだよ〜！ Aちゃんのことになるとすぐ泣いちゃうんだから！！ 」
「それ佐久間へのダメージの方がすごくね？ 」
「余計泣いちゃった、佐久間くん」
「阿部ちゃーん、へるぷ……」
「佐久間が泣くと俺呼ぶの辞めよ、Aちゃん」
「あべさくが好きなので……」
「理由が不純すぎる」
「あれ、なんだこれ、」
「深澤くん、それ見たら絶交するから」
「えっ」
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作者名：風呂 | 作成日時：2023年1月29日 15時
