【探偵チームKZ】KZの姫は知っている【アーヤ成り代わり】

#001　　↓アーヤに成り代わり?! ページ2

.


私は、死んだ。
いや、いきなりでごめん。でも、そうなんだ。

きっかけは、事故。信号を待っていた私に、車が突っ込んできたらしい。呆然として、足がすくみ…、ただ、ただ、私はそのまま、吹っ飛ばされた。

雨が降って、滑りやすくなった道路。
私は傘を持っておらず、濡れたくない一心で走っていた。視界は最悪、点滅した信号にも気が付かないほどに。

運転手さんは悪くないのに。
私が悪いんだろうな、きっと。


心残りなんて、言っちゃえばほぼない。…友達とKZだけだ。
家族はいないし、里親もいい人じゃなかった。暴力を振るうとか、暴言をはくとか、毒親じゃないだけまし。私を引き取ってくれただけで、もう善人なんだろうけれど、私は好きになれなくて。

KZの新刊は、トートバッグの中、家で読もうと思ってたのになあ……。
一人で寂しいとき、KZが私を元気付けてくれた、といっても過言ではなかった。


それから友達の顔。フラッシュバックする笑顔が、悲しさを煽る。
ああ、嫌だ。やっぱり死にたくない。怖いに決まってるじゃんか、こんなのって…。


私が瞼を閉じると、向こうの方に光が見えたような気がした。…正体は分からない。そもそも幻覚か何かかも……でも、私は、『それ』に向かって、手を伸ばす。

＿＿もちろん『それ』なんて無い。
伸ばした手は、空を切り＿＿＿＿＿＿

私は、意識を手放した。
不思議と…、最後まで痛みは感じなかった。


.

#002→←設定

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す