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「昨日俺が行きつけのバーに飲みに行ったら、カウンターで一人で飲んでるお姉さんがいたの。まぁ最初は綺麗な人だなー、くらいにしか思わなかったんだけど、そのお姉さんペース落ちないでずーっと強い酒飲んでんの。で、テキーラ3杯目くらいかな? そろそろヤバいんじゃない? ってところで、お姉さんと目が合ったの」



テキーラ3杯……そんな飲んでたのか、私。
確かテキーラの前にカクテル5、6杯飲んでなかったっけ?
記憶無いはずだよ……。
この時点でやっちまった……なんて思いながら、彼の言葉の続きを待つ。



「しばらく目が合って、気付かれたかなーと思ったら、お姉さんがにこーって笑うの。
それがすっげー可愛くてさぁ、つい声かけちゃって。そしたら話が盛り上がって、楽しくなっちゃって。よし、俺の家で飲もうってなって、お持ち帰りしちゃったんだよね」


「……まじですか」


「うん(笑) で、うちでもまた2人でワインとかビールとか飲んで。でも最初は楽しく飲んでたのに、急にA泣き出しちゃってさぁ」


「え!?」


「仕事でミスしてー、上司にめっちゃ怒られてー。愚痴も言えない、慰めてくれる人もいない、寂しい、辛いよーって。最初は俺も大丈夫だよーって、慰めてたんだけど。さっきまで笑ってたのに、突然の涙でしょ? 俺がぎゅってしたらAも抱きついてくるし? それでなんかグッとキちゃってさぁ。キスしたら、俺ら相性いいみたいで、まぁ気持ち良くって止まんなくて。で、後はご想像の通り」


「…………」


「でも可愛かったよ? シてるときも、Aずっと俺に、ぎゅってして、ちゅーしてって……」


「あー! ああーー!! あああーーー!!!」



なんだって!?
酔っぱらっていたとはいえ、ぎゅーして? ちゅーして??
そんなことを初対面の人に!?
歴代の彼氏にも言ったことないのに!?
どうしよう、恥ずかし過ぎる!!!



「慌て過ぎ(笑) ま、というのが俺の知ってる昨日の出来事。思い出した?」


「……いえ、全く」


「そりゃそうだよな、すっげー飲んでたもん」


「すみません、ご迷惑をお掛けして……」


「いや、俺的には美味しかったです、ご馳走様って感じだけど」



そう言って、彼はまた笑った。
あぁ、穴があったら入りたいって、正にこの事。
恥ずかし過ぎてどんな顔していいかわからないし、隣の彼の顔も見れなかった。

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作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:リオ | 作成日時:2018年9月5日 19時

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