18 ページ19
「風呂沸いたけど、もう入る?」
「うん、そうしよっかな」
「一緒に入る?(笑)」
「…………」
あたふたしたり下手に反応すると、調子に乗るのは今日一日でよくわかった。
こういうときは無言で、真顔で彼の顔を見る。
「……嘘です、お先にどーぞ」
「お言葉に甘えて」
ほら、ね?(笑)
「ね、シャンプーとか借りてもいい?」
「好きに使っていいよ。タオルは出しとく」
「ありがと。じゃあお風呂借りるね」
「いってらっしゃい」
リビングでも、寝室でも、なんなら玄関でも思ったけど。
やっぱり脱衣所も浴室も広くて、うちと大違いだなぁなんてちょっと緊張して。
置いてあるシャンプーやボディソープもいいお値段のするやつで、すごくいい匂い。
あぁ、やっぱり芸能人なんだなって実感する。
うちより広いTV付きのお風呂。
足なんか余裕で伸ばせちゃう。
こんなにゆったりお風呂に入るのなんて久しぶり。
人の家だけど(笑)
のぼせないうちに、ってお風呂から出て、持ってきたルームウェアに着替えてリビングに戻る。
「お先に」
「おー、お?」
「なに?」
「すっぴん?」
「…………」
そりゃね、お風呂上がりですから。
でも、嫌だな。
「幼くなるね」
そう、それ。
「……気にしてるのに」
「なんで? 可愛いよ?」
ものすごくさらっと言うもんだから、びっくりして。
不意打ちだったから、顔が赤くなるのが自分でもわかる。
「ん? 顔赤い、のぼせた?」
「だ、大丈夫!!」
「そう? じゃあ俺も風呂入ってこよー」
彼がリビングを出て行ったのを確認して、ソファに座り込む。
彼は度々可愛いって言ってくれる。
この歳になって、そんなこと言ってもらえると思わなかった。
彼は芸能人だし言い慣れてるんだろうけど。
お世辞だって、社交辞令だってわかってるのに。
言われ慣れてない私は、ドキドキが治まらない。
ましてやあのイケメンに!!
頬に手を当てて、落ち着け自分!!って必死に言い聞かせた。
39人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:リオ | 作成日時:2018年9月5日 19時