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突然、サーキュリーやらリンドやら言われてもよくわからないのだが。しかし、この妖狐は何の説明もしないのだ。自分で調べろと言うのか。いやいや、私の家に妖精語事典なんてそんなものは置いていないぞ。
「うん、着いたよ。ここが隠れ家。さ、行くよ」
「え、ええ……あれ、服装変わってません?それに耳と尻尾も」
「うん、もうこっちは魔界だからね。元の服に勝手に戻っただけ。耳と尻尾はもとに戻したの」
どうやら世界を移動すれば服装も変わるらしい
耳の毛並みを手をグーにして整えているのんきな妖狐は着物の乱れに気づいていないらしい
「ひぃっ、や、何してんのっ」
「いや、着物が乱れてたから直そうとしてたんですけど」
「やめてよ。着馴れてるし、自分でできるから。君、なんかちょっとおかしいよ」
「いやいや、おかしくないはずですけどね。こんなに可愛い狐がいたら――なんて、冗談ですよ」
「絶対真顔で言う冗談じゃないよ。ほら、早くしてよ」
着物を直そうとするとささっと逃げて嫌がられた。けっこうかわいい奴だ。本人に言ったら、睨まれるだろうが、まぁ怖くないだろう。
「あの、制服ってこんなところに売ってるんですか?」
「だから全部売ってるってば」
そんな会話をしながら1時間25分歩き回ってようやく買い物を終えた。荷物は全て学校に届けられるらしい
「よし、帰ろう。着替えは各自で用意だからね。あ、電車の切符買ってないや。ほら、ついてきて」
「え、電車って切符くらい買えますよ」
「ふーん、じゃあ買ってきてよ。156番ホーム始発のホワイトフィーナス行きの電車の切符」
「ごめんなさい、そんなホーム番号も行き先も知らないです」
電車の切符と言うくらいなのでそれくらい大丈夫だと思っていたら、そこは結局魔界で。妖狐に連れられて切符を買いに行き、結局帰りついたのは黄昏時だった。
「さ、早く準備しなくちゃ。明日出発だからね。ほら、早く持っていくものを引っ張り出して」
「ちょっとくらい休ませてください。慣れないところ歩き回って疲れてるんです」
「むぅ、じゃあ30分だけね」
そう言うと床にペタンと座り込んだ。着物に着替えないのだろうか。それにサイズも大きなままだ。
「あの、着替えないんですか。それに大きいままですよ」
「うん、手伝うにはこのままの方がいろいろとやりやすそうだから」
「え、手伝うって……何をですか」
「君の用意だよ。たたむのとか、整理するのとか」
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作者名:天川凛廻 | 作成日時:2017年12月24日 20時