3章-1 ページ23
翌朝、起きてみると顔面がやけに疲れていた。
昨日、笑いすぎたせいか。ひとつ、欠伸をしてから起きることにして、視界にうつる天井をぼやっととらえた。
こういうときに限って、欠伸というのはなかなか出ない。すでに5分は経過していた。このままだと、さすがに二度寝してしまいそうだと、怠い体を無理矢理起こす。瞼が重い。
微睡みに落ちそうになりながら学園規定のマントを羽織る。戦争時の仮部隊の確認に、聖水の間へと向かう。微妙な距離に面倒くささを覚えつつも、なんとか辿り着いたその扉を引く。既に、大半の1年生が集まっていた。その中に、神無月の姿はない。気だるげに飛んできた白天に尋ねてみるも、首をかしげられるだけだった。
神無月の行動は、どうも読めない。それならば、考えてもわからないのだから仕方がない。今日中には帰ってくるだろう。
心のなかでちょっとした愚痴をこぼしつつ、仮部隊を確認する。援助、戦闘、医療、監視。月替わりだから、4か月で仮配属は終わりか。それから1か月、配属先の会議が行われて決定。なんと面倒な。
総合オリエンテーションが始まるのは、午後2時から。現在午前9時、あと5時間をどう潰そうか。ひとまず自室に戻ろうと、来た道を引き返す。特にすることもないが、人が多いところは避けたい。それだけを理由に部屋に籠って13分、聖水の間の方が少し騒がしい。何か始めたのだろう。関係ないかと寝ようとしたとき、激しい足音が近づいてきていた。騒がしいな、そう思いながら寝返りをうった3秒後、私は悲鳴をあげることとなる。
唐突に開いたドアだけでも十分に恐怖を感じるほどなのに、入ってきた本人を見て余計に謎は深まる。押しかけてきた暁は、右手で杖を構えている。こちらに向けて。
対応策など知るはずもない。意味は無いだろうが、布団の下に隠れて様子を伺ってみる。なんとなくわかってはいたが、クツクツと笑い声が降ってくる。それでも、布団の下から出ないでいると、再び笑い声の混じる暁の声が降ってきた。
｢いや、みっちゃん、何してるの。水寮の場所もみっちゃんの部屋もわかんないから、魔法使っただけだって。俺、わざわざ部屋までじきじきに攻撃しには行かないって。面白そうだけど｣
そう言うのなら、と出ようとしたが、最後の余計な一言によって、それは先伸ばしにすることとなった。ただ、忘れていたが、暁は私が出てくるのを待ってくれるような奴ではない。容赦なく布団を剥ぎ取られて、満面の笑みを向けられていた。
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作者名：天川凛廻 | 作成日時：2017年12月24日 20時
