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校長からの質問に正確に、淡々と答えていく。こんな奴だっただろうか。もう少し適当だった気がする。横では桃音と神無月が話している。真逆のような気がするが話は噛み合うのだろうか。
やがて、白天への質問攻めは終わり、こちらへ飛んできた。それと同時に桃音は校長の元へと飛んでいった。ずいぶんと気だるげに飛んでいる。

「おかえり」であっているのかは分からないけれど。

「ただいま」って言う程でもないけどね、と少しして付け加えられる。

尋問はどうだったかと問うと、どうもなかったと素っ気なく返ってくる。その後でまた今年は珍しいね、とこちらを見ながら言った。何かおかしなことでもあったのだろうか。こちらを見られても分からない。

「君たち二人だよ。校長がすぐに寮を決められない人が出るのは約10年にひとり。1年にふたりも出るのは創立以来初めてだよ」

「そんなこと言われても――」そんなことは望んでいなかった。

「まぁ何だかんだ言ったって仕方無いから別にいいよ。で、そちらは?」

そう言われて“そちら”の方を見ていると、視線を感じたのか、こちらを振り返った。その目で見つめられてふいっと目を逸らしてからようやく神無月、と質問に答えた。ふーん、と言うと既に視線を戻している神無月の方を見て飛んでいった。

「君、白天、であってる?」

「そうだけど……なぜそれを?」

「桃音から、しつこく、聞かされた、から」

「ふーん、そう。君は神無月であってる?」

静かに首肯を返し両手で器を作ると、白天にそこに座るようにと促した。相変わらず途切れ途切れだ。それから何か話し始めたが、神無月の髪に隠れてよく分からない。声を小さくしているのか、声は聞こえても音は判断できない。
桃音が神無月の元へ帰ろうとして白天に気づき、こちらへ飛んできた。私は歩きながら、彼女は飛びながら話して別室を出る。自己紹介をするわけでもなく、神無月と白天について話していた。桃音からすればふたりとも弟のような感覚らしく、かわいいと漏らした。
ようやく、寮が告げられていないことを思い出す。どうなったのだろうか。

「あの、寮ってどうなったんですか?」

「あぁ、それなら向こうで発表されるわよ」

そういえば寮は全員に知らされるんだったな、と他人事のように考えながら校長の椅子の前に神無月と並んで立った。桃音は彼の元へ戻り、白天も戻ってくると、横に並んで浮遊した。
別段緊張するわけでもなく、告げられるまで欠伸を噛み殺した。

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作者名:天川凛廻 | 作成日時:2017年12月24日 20時

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