1章-1 ページ2
日光が目元に当たってうっすらと目を開ける。
人が気持ちよく眠っていたと言うのに目元に来るなんて、何の嫌がらせだ。
明日から魔術学校に入学することが決まっているが、全く用意をしていない。完全寮制だから、忘れ物をしたら1年は忘れたまま生活しなければならないのだが……なにせ、持っていくものがわからないのだ。
早起きした意味もなく、いつか来るであろう持って行くものリストを待つことにした。
それにしても、今日の夢は不思議な夢だった。どこかの学校を鏡のようなもの越しに見て、男の子と会話をして、扉を選んでそこから出たような気がするのだが、肝心のその男の子が思い出せない。一体、彼は何者なのだろうか。
興味があるわけでもなく、ないわけでもなく――まぁ、いつかわかるだろうという根拠もない理論を結論にして考えることをやめた。そもそも考えることが嫌いなのだ。
先週報道された国会議員はどうなっただろうか。そんな知りもしない赤の他人の心配と称した文句を唱えていると、何かが窓をけたたましく叩いた。
「ひぃっ……な、何!?」
つい、らしくない悲鳴をあげ、あわててそちらを向いてみるも、そこには何もない。音は鳴り止むことを知らず、窓を叩き続けているが、何もない以前にここは3階だ。何かがいたとしても叩けるわけがないのだ。まさか――
「ポルターガイスト現象……」
叫んでしまったが、霊なんてどうしようもない。それにポルターガイスト現象なら窓だけが音をたてるのはおかしい。やっとのことで冷静さを取り戻し、窓を開けるという手段を思い出す。
「窓を……開ける?何がいるかわからないのに――?」
そう、敵はこちらを知っていても、こちらは敵を知らないのだ。最悪の場合死ぬかもしれないではないか。
そんなこんなで10分ほど経ったとき、窓の1ミクロンくらいの隙間から何かが入ってきて、鍵を開け始めた。と言うことは何かが入って来るイコールお先真っ暗ではないか。確定ではないが
「もうっ、自分で開けますから許して――」
勝手にこじ開けられてどうかなるくらいなら自分で開けてしまった方が良い。もうどうにでもなれ――
「まったくもう、開けるならそうと言っておくれよ。全身を打ってしまったではないか」
「えっと……どちら様ですか?」
どちら様ですか以前に訊くことがひとつあったのに、飛ばしてしまった。どこにいるのかがわからないのだ
「おっと悪いね。僕はお使いの妖精。ここだよ、ここ。窓枠の上」
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作者名:天川凛廻 | 作成日時:2017年12月24日 20時