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十五分の休憩が終わり、行きと同じ道を辿って寮まで戻ってきた。
日が高くなるに連れ行きより辛さも増したけれど、それでも頑張れたのはアジーム君がずっと励ましの言葉を掛けてくれたから。
あと、一番は象さんの背中に乗せてもらった事が大きいかも知れない。
私の体調を気遣ってか、彼は寮に着くまで居れば良いとまで言ってくれた。
遠慮させてもらったけども。
他のみんなが頑張ってるのに自分だけ楽するわけにはいかないからね。
「今日とっても頑張ったのでもう帰りたいです」
「A、これ飲んでみろよ!美味いぜ!」
「話聞いてた?」
オクタヴィネルの三人のように、聞こえてるけど意地悪で無視しているわけではない。
彼は本当に聞いていないから厄介なのだ。
「すまない、こういう奴なんだ」
「ううん平気だよ」
両手いっぱいに渡された食べ物や飲み物をバイパー君が回収してくれた。
床に置く事すら出来ず困っていたので助かった。
お礼を言うと、彼は小さく微笑む。
そして次から次へとグリム君の口に食べ物を詰め込むアジーム君を咎めた。
被害に遭う彼を心の中で憐れみながら、自分は巻き込まれぬようにそっと距離を置いた。
助けられなくて申し訳ないとは思ってるよ。
でもその容赦無い動きを恐ろしくも思ってるよ。
我が身の安全を考えて、遠くから見守る事にするね。
「相変わらず嵐のような人だなあ」
急にアイスクリームを持ってくる、と立ち上がったアジーム君。
彼なりの気遣いなのか、それともただ私達に食べてもらいたかったのか。
バイパー君はそんな彼に少し呆れた表情を見せた。
もっと後継としての自覚を持ってほしいんだってさ。
「主従関係って思ったより複雑なんだね」
アジーム君本人がしたくてやった事でも、怒られちゃうのはバイパー君なんだ。
楽観的な主人と真面目な従者。
お互い窮屈に感じてないと良いけれど。
こういう時、色々溜め込み易いのはきっとバイパー君の方だろうなと思った。
「育った環境が違い過ぎて、僕には少しも想像がつきませんでした」
「ユウ君の場合は世界から違うもんね」
「あ、確かに」
顔を見合わせて笑う。
リドル君とも前はこうやって笑い合えてたのにな。
ふとそう思って少しだけ心にもやもやが渦巻いた気がした。
以前感じてたそれらとは違い、でも何が違うのかは矢っ張り分からなかった。
「お前達、いつまでメシを食ってるつもりだ!」
どうして急にそうなったのですか。
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りん(プロフ) - ふわなさん» ありがとうございま😭劇遅亀更新野郎ですが、頑張ります!!!! (2021年11月16日 21時) (レス) id: 0e75b6d63c (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - とっても面白い作品ですねヾ(≧▽≦*)o更新楽しみにしております! (2021年11月16日 13時) (レス) @page34 id: 7054f2498a (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます!!!!わかりにくかったかなーと思ってたので、嫉妬してるところ伝わって嬉しいです😂 (2021年11月13日 20時) (レス) id: 0e75b6d63c (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 更新楽しみに待ってます(●´▽`●)リドルくんの嫉妬とか可愛いです(●´▽`●) (2021年11月12日 22時) (レス) id: ed2686deb5 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 花束さん» ああああああ!お返事遅くなって申し訳ないです!ありがとうございます😭😭そう言ってもらえて凄く嬉しいです!更新、暫しお待ちを!! (2021年10月15日 21時) (レス) id: 35357c875d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りん | 作成日時:2021年7月15日 18時