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「ドアがびくともしねぇ」
「隊長、鍵を掛けられてます」


出せとやや暴れ気味のグリム君を宥める為に彼をお膝に乗せて頭を撫でた。

そして今度は優しく抱き締めてみる。


「楽園が牢獄に早変わりだ…」
「囚人になった気分だね」


ぺたりと床に座り込んだ私達。

何だか同じ事をした覚えがあるのは気の所為かな。


「これが客に対する態度か?」
「あ、私達ってお客様の立ち位置なんだ」


それにしては結構熱烈な駆けっこをした気がするよ。

私も後ろから参加してぶーぶー文句言ってみよう。


「そうだ、もらったすまほで学園長にチクッてやるんだゾ!」
「出てくれると良いね」


投げやりな言葉ではあったけれど、本当に彼は電話を取らなかった。

南の島でバカンス中だから電源を切ってるんだって。

はぁ、と無意識に溜め息が零れ落ちた。


でもまあ最初から期待はしてなかったし、矢っ張りねという気持ちではある。


再びぷりぷり怒るグリム君。

可愛らしいその姿を見つつ、もっと言って良いよと促した。


取り敢えずトラッポラ君とスペード君にも連絡を入れ、今日はもう寝る事に。


「今更なんですが別の部屋にしてもらった方が…」


誰よりも早く眠りについたグリム君をそっとベッドの上に移動させ、躊躇いを見せながら言い出したユウ君。

とても困った顔をしている。

「あ、そうだよね」

気付かなくてごめんねと慌てる私に、彼も慌てて弁明をしてくれた。

どうやら私と一緒なのが嫌だという訳ではないらしい。

それを聞いて少しだけほっと肩を撫で下ろす。


「ただ、リドル先輩に首をはねられてしまいそうで…」
「どうして急にリドル君?」


私の質問にユウ君は驚いた顔を見せてから笑った。

まだなのかと呟いているが、それがどう言う意味なのかは不明だ。


「あんまり意地悪しないであげてくださいね」


小首を傾げて真意を問うもはぐらかされる。

彼の口からは言えないみたい。


「私もいじめっ子だったのかな」
「まあどっちもどっちな気はしますよ」


未だくつくつと笑うユウ君。

楽しそうなのは良い事だけれど、私にとっては一大事なんだぞ。


苛めっ子は嫌だ。


だからと言って彼に当たるのは違うって分かってる。


ぶぅと頬を膨らませてたら横から突かれた。


「ユウ君も意地悪だ」
「男はみんないじめっ子ですよ」
「それって性別関係あるの?」


そう訊いても彼はにっこり微笑むだけで答えてはくれなかった。


頭がこんがらがってしまいそうだ。

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りん(プロフ) - ふわなさん» ありがとうございま😭劇遅亀更新野郎ですが、頑張ります!!!! (2021年11月16日 21時) (レス) id: 0e75b6d63c (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - とっても面白い作品ですねヾ(≧▽≦*)o更新楽しみにしております! (2021年11月16日 13時) (レス) @page34 id: 7054f2498a (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます!!!!わかりにくかったかなーと思ってたので、嫉妬してるところ伝わって嬉しいです😂 (2021年11月13日 20時) (レス) id: 0e75b6d63c (このIDを非表示/違反報告)
- 更新楽しみに待ってます(●´▽`●)リドルくんの嫉妬とか可愛いです(●´▽`●) (2021年11月12日 22時) (レス) id: ed2686deb5 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 花束さん» ああああああ!お返事遅くなって申し訳ないです!ありがとうございます😭😭そう言ってもらえて凄く嬉しいです!更新、暫しお待ちを!! (2021年10月15日 21時) (レス) id: 35357c875d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りん | 作成日時:2021年7月15日 18時

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