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「…ふう」

深呼吸を一つ。
首元に手を置くとほんの少し緊張が緩和される。

それでもこの緊張を落ち着かせる事なんて容易じゃない。


口から心臓が飛び出そう。


後輩二人に対峙するのは、リドル君。

時刻は午後三時半を過ぎたところ。

こういう争い事はあまり好きじゃない。
でも目を瞑ってちゃだめなのだ。

私達は、自分達の問題をちゃんと受け止めて向き合うべきなの。

だから居残り練習は早急に切り上げてきた。

バルガス先生こっち見てなかったから大丈夫。

考え事しながら飛べるわけないし、一回飛んだら十分だよ。


「…昨夜はすみませんでした」
「本当に気にしないで。言われなかったら、きっと受け流しちゃってた」


嫌な事から逃げてたと思う。

だから、寧ろ有難かった。

笑ってそう伝えたけれど納得いかない表情で此方を見ている。

お願いだからそんな顔しないで。

私が困っちゃうよ。

心優しいユウ君の事だから、それでも申し訳ないと感じてるのだろうか。

気にしなくても全然平気なのに。


トラッポラ君は私が思ってたより何倍も真っ直ぐな子だった。

それが分かったんだから私は嬉しいよ。

やっぱり第一印象じゃ人は判断出来ないね。


そうこうする間に準備が整ったらしく、学園長が改めて流れを説明してくれた。


投げた鏡が割れる、それが始まりの合図。


野次のような声援と共に幕を開けた。

でも、勝敗は直ぐに決まった。

リドル君のユニーク魔法『首をはねろ(オフ・ウィズ・ユアヘッド)』が開始直後に唱えられたのだ。

首輪を付けられた者は、彼の赦しが出るまで魔法が使えないと聞く。


即ち、負け。



「速い…」


最初から分かってた事だけれど、魔法発動までの時間が二人より格段に短い。

魔法の強さは想像力の強さ。

その差は歴然だ。


「ボクが決めた事に従えない奴は首をはねられたって文句は言えないんだよ!」


売り言葉に買い言葉でどんどん感情が昂まっていくリドル君。

これはまずい。

止めに入ろうと足を踏み出したけれど、近くに居たダイヤモンド先輩が私の腕を掴んでそれを阻止した。


「先輩、どうして」
「Aちゃんも知ってるでしょ、決闘は申し込んでからじゃないと参加出来ないって」
「そんな事言ってる場合じゃ…」


目の前で啀み合う三人を、これ以上見てられない。


「ふざっっけんな!!!」


親御さんの事まで言われ相当頭に来てしまったのか、トラッポラ君がリドル君を殴った。



………殴った!!

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りん(プロフ) - ラムさん» はじめまして!そう言っていただけると此方も凄く嬉しいです!ゆるゆる更新になってしまうかもしれませんが、頑張ります!ありがとうございます! (2020年9月27日 0時) (レス) id: 6f476b47f8 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 話しの続きが気になる (2020年9月26日 16時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りん | 作成日時:2020年8月27日 15時

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