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「…あ!大きい貝殻」
『ほんとだ!』
大きい貝殻に目をつける北斗。子供っぽくて自然と笑みが溢れる。
小指くらいの大きさの貝殻を持って、写真撮ってくれる?と言われ、北斗の携帯を渡される。写真を撮るっていう存在を忘れつつあった。
『撮るよー!ハイ、チーズ』
貝殻を持っている手を顔の横にして、しゃがんでいる北斗の写真が撮れた。
『可愛く撮れたよ』
「え、恥ずかし!」
その笑顔を見るたび、胸がぎゅっと締め付けられるような感覚になる。そうやってまた、「好き」という感情が出てくる。
お互いにしゃがんでいた体制から、海の方へ向かって立つような姿勢になる。風が吹いて、波が揺れる。車の音も、子供の声もしない。
「改めて…誕生日、おめでとう」
『…! ありがとう。』
「振り向いてもらえるように…頑張るから。」
声も出なくて、思わず北斗の目を見る。すると、バチっと効果音が鳴るように目が合った。北斗は微笑むけど、私はきっと驚いたような表情でいた。
まだはっきりとはしてない。けど、頑張らなくても私は君に…… __
そんなことを口にするのは難しいことで、そっと胸の奥に閉まった、2022年の誕生日。
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Christmas.《Shintarou.M》
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作者名:Y | 作成日時:2022年12月5日 17時