Curtain call. 〈Hokuto.M〉 (ページ19)

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『わ…美味しそう。ありがとう』

北斗がついさっき作ってくれたオムライス。
ケチャップでかわいい犬の絵が描かれている。

「ササっと作っちゃったけど…オムライス苦手じゃ無い？」
『苦手じゃ無いよ！むしろ好き。』

いただきます、って手を合わせる。

『…美味しい』
「よかった」

微笑む北斗。これでもかってくらい優しい表情。

「そういえば、あそこのブランド店で働いてるの？」
『うん。元々好きなブランドだったからね。北斗は今なんのお仕事してるの？』
「俺は薬剤師」
『……え？薬剤師、って…薬剤師？？』
「薬剤師。」

北斗頭良いもんね！っていうレベルじゃ無い。
そういう仕事に就くの相当難しいよね。

仕事をしているところを想像できるし、職場でもモテるんだろうなぁ…。

『すごいね』
「まあ、ちょっと頑張ったんだよね。」
『明日は仕事無いの？』
「うん。」

ここからも特に会話は続かず、「外寒かったね」『ね』っていう付き合いたての気まずいカップルみたいになってる。

その時、何処かから携帯の振動。

「…あー、俺かも」
『大丈夫なの？出なくて』
「うん。今食べてるし、あとで掛け直すから」
『…そっか』

そう言う北斗の表情は見たことなくて。焦りも感じ取れるけど、なにより「呆れ」っていうのか、そんなかんじ。

その表情に見てみぬふりをしたのは、私の選択ミスだった