. ページ24
＋＋
＋＋＋
バイト先に向かっている途中で気付いた。
制服を家に置き忘れていた。
とはいえまだ時間はあるしバイト先は家から近いので一度帰っても十分間に合う。
鍵を開けて中に入り、制服をとりに２階の自分の部屋へと向かう。
紙袋にちゃんと入っているのを確認してから手に持って下へ降りる。
玄関まで数歩だという距離で、ガチャリと扉の開く音がした。
開いた扉から、仄かに暗い廊下に光が差す。
「…いたの」
扉から顔を覗かせたのは母親だった。
「A、この前テストだったでしょう？成績は？」
「…いつも通り」
「もう2年生なんだから、バイトなんて早く辞めて勉強しなさいよ」
もう2年生、なんて。
中学の時は1年生で部活辞めろなんて言ってきたくせに。
結局は時期的なものではなくて私が勉強以外の事をやっているのが気に食わないのだこの母親は。
返事をするきも起きなくて足先を見ながらすれ違って靴を履く。
さっさと離れないとまたいつ怒って手が出てくるかわからない。
早く逃げること。それが最大の自己防衛だった。
「ありがとうございます」
すっかり日は沈んで窓から見える空は暗くなっていた。
疲れた顔のサラリーマンや部活後なのだろうジャージ姿の中高生がちらほら来店しては商品を買って帰っていく。
レジを打って、たまに陳列棚に商品を補充して。
そんな作業を繰り返しながら、バイトが終わったら、どうしようと考える。
特に指定もしていない待ち合わせ場所。
恐らくあの公園だろうけど確証はない。
そもそも、私のバイトが何時に終わるかも明智は知らないはずだ。
私も、明智のバイトが何時に終わるかを知らない。
幸い今日は金曜日だ。
長い時間待っていようと明日は用事もないし寝坊なんて気にしなくていい。
ましてや母が帰ってきてしまっている家に早い時間には帰りたくない。
明智が本当に来ても来なくても、ゆっくり待っていようと思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1475人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なー(プロフ) - 莉桜さん» ありがとうございます！ラストの構成はドラマの７話終了後からずっと決めていますのでもうしばらくお付き合いください(><) (2019年10月16日 22時) (
レス) id: 346cc34a59 (このIDを非表示/違反報告)
なー(プロフ) - 紗里さん» ありがとうございます！コメントしてくださる事が励みです(ToT)すみません、もう少し完結までかかりますがお付き合いください！ (2019年10月16日 22時) (レス) id: 346cc34a59 (このIDを非表示/違反報告)
莉桜 - とても読み応えのある作品だと思います！更新、お忙しいとは思いますがぜひラストまで読みたいです！！楽しみにしてます！ (2019年10月8日 8時) (レス) id: 73bed802f4 (このIDを非表示/違反報告)
紗里 - すごく素敵なお話ですね!最後まで読んでみたいです。更新大変だと思いますが楽しみにしています！ (2019年9月28日 20時) (レス) id: 1dbc53bd3a (このIDを非表示/違反報告)
なー(プロフ) - 璃々さん» あまりに更新しなかったので完結判定されちゃいましたかね(⌒-⌒; )ここで終わらそうという構想はあるので仕事でなかなか更新がままならないのですが頑張ります…！ (2019年8月23日 15時) (レス) id: ec49a5da0d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なー | 作成日時：2019年6月20日 19時
