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「あ!パパだ!」
玄関を開けばすぐに聞こえて来るのはその愛しい声
「パパー!」
パタパタと響く足音を合図に身を屈めれば、首元に降って来るように抱き付かれる
それを抱え上げて、
降「ちゃんと良い子にしてたか?」
「うん!明日のね、ランドセルの準備もしたんだよ!」
耳元でそんな可愛い話を聞きながら廊下を進み、
降「パパにお帰りのチューは?」
と頬に小さな柔らかさを感じれば、どんな仕事でも頑張れる気がする
いや、"気がする"ではなく本当に頑張れる
それくらい、守らなければならない大事な存在がいると言うのは至極大きい
これまで独り身だった俺は、特別帰りたいとも思わず、ただこの国の為になるならとの一心でやって来た
しかし今となっては、愛する娘と過ごすこの時間この空間がたまらなく愛おしい
確かに血の繋がりも無ければまだ3年という時間だが、もうそんな事は関係無い
降「パパもAが大好きだぞー!」
リビングでその体を下ろす前に、そうやって柔らかいほっぺたを口先で感じれば
相変わらずあの年齢不詳女の香水が臭いだとか、
何であんな時に呼び出されなきゃいけなかったのかだとか、
そんな不満も全部忘れてただ満たされる幸福感
...だがそのチューにキャッキャと笑顔を見せてくれるAはいつまで続くのかという恐怖
今日も実際入学式の時、
"パパはヤダ、ママがいい"と主張する子が居たり、
"最近じゃ抱っこもさせてくれないよ"と嘆く父親が居たり
こんな可愛いAも、いつか俺の事を...
「パパ、かざみもハンバーグ食べたいって!」
風「あ、いや...」
...お前はもうこの数時間Aと居ただろ
俺は組織の仕事をやっと終えて帰って来た所なのに、どうして親子水入らずの時間を邪魔されなきゃいけないんだ
という念を送るように睨めば
風「あぁ...よ、用事を思い出しました!」
「え?帰っちゃうの?」
風「申し訳ありません、また機会があったら一緒にご飯に行きましょう!」
「えー...」
...察してくれる部下の一方で、愛娘は残念そうな顔をする
ダメだ
そう肩を落とすな
パパの意志が弱まっちゃうだろ
「パパのハンバーグ美味しいのに...」
あああああ
パパのわがままで大事な娘を悲しませるわけには
風「仕方ありません...ですがちゃんと約束を
降「いや、待て。...材料を買い過ぎたような...気もしなくもない...ような...気が...」
風「...???」
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たろ。(プロフ) - 親バカ割と迷惑で笑うww更新楽しみにしてます! (2022年3月21日 17時) (レス) @page20 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
ハナノアナ!(プロフ) - 更新楽しみに待っておきますね!💜❤💙💚 (2021年11月10日 0時) (レス) @page18 id: ccc7628059 (このIDを非表示/違反報告)
雪葵(プロフ) - 修行、頑張って下さい!!!! (2021年10月30日 18時) (レス) @page18 id: 6d1560da95 (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ - Rinさんの作品どれも大好きです。いつも楽しく読ませてもらってます。帰って来るのをずっと待ってます。 (2021年10月27日 3時) (レス) @page17 id: 8b5d31fef6 (このIDを非表示/違反報告)
玖欄(プロフ) - いつも作品楽しく読ませてもらってますよ。面白いですよ〜。自信持って下さい。帰って来るのを楽しみに待ってますね。 (2021年10月26日 14時) (レス) @page17 id: 6fb014f278 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Rin. | 作成日時:2021年10月18日 22時