パパはカッコいいと思われたい【安室透/降谷零】

◆ ページ16

公「どうしますか...？」



全く
我らが上司は、娘が出来てからというもの
年々仕事をしなくなって来ている
Aさんが成長する一方で、降谷さんは幼児化してっているような

正確に言えば仕事をしないわけではないが、どんな時でも娘を唐突に優先されてしまうのだ

思い立ったら直ぐ娘の事

例を挙げるとすれば、以前Aさんが突然"ビーフシチューって白じゃないの？"と口にされた時
恐らくクリームシチューとの違いが分からなかったのだろうが、その発言の直後に降谷さんはその日の会議を翌日に延期された
本格的ビーフシチューを作る為に

こちらにいらっしゃっていても、娘の写真に"可愛い可愛い"言いながら夢中になったり
先日も、提出した書類がなかなか返って来ないと思ったら"いつかジャニ◯ズを逮捕してやる"だの、"たかが小学生だろ"とあまり機嫌が宜しくなかったようで...

どうせAさんが、ジャニ◯ズや学校のお友達に好意を寄せているような素振りを見せたのだろうという事が容易に想像出来る

お気持ちは分かるが、一部を除いて娘は異性であるパパから離れていくのが世の条理
きっとそのうち彼氏も出来て、その彼が降谷さんの元へ挨拶にいらして、時が経てば結婚式

...まだまだ毎日"チュー"だとか言っている降谷さんにはかなり難しくなりそうだが...



公「風見さん！ご自宅に行ってみたらこんなメモが！」

風「メモ？」



さすがにずっと連絡も取れないのは安全面にも心配が及ぶとして、公安部の人間をご自宅へ向かわせた
もう昼になるというのに未だメッセージの返信もなければ電話も繋がらない
全く、何をされているのか...



風「..."今日は娘とデートする...？仕事は明日やる...？"」

公「...どうしますか？」



こんなの、宿題をやりたくない子供の言い訳じゃないか



風「...仕方ない、連絡を待とう」



全く、こんなんで潜入捜査のお仕事はどうされているのか
さすがに"娘が..."という言い訳は通用しない
我々は同じようにAさんの可愛さに毒されているから、その大好きなパパである降谷さんも止められないのだが...

きっと今も遊びに連れて行かれたのだろう
そうなると無理に降谷さんを呼び戻すと、Aさんのガッカリに繋がりかね...

...ん？



公「降谷さんからですか？」

風「ああ」



突然かかって来た着信
それを取ると



風「風見で

降『検問を張れ！都内全域だ！』

風「け、検問ですか？」

降『早くしろ！』


焦り散らしたような声色

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