松田が残していった厄介者 5【降谷零/安室透】

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そんな格好じゃ外は冷えるからと着せられたジャケットはぶかぶかで。






パパの背中で過ごす沈黙のエレベーターの時間は、とても長く感じた





おんぶだなんて、子供に戻った気分




すぐ横に耳があるのをいい事に、息でも吹きかけてやろうかと思ったけど、落とされるのも怒られるのも御免だと諦めた









レストランを出る前





A “このワンピース返しに行かなくていいの？”


風見 “大丈夫ですよ。買い取りましたから”


A “買い取り！？”


風見 “はい、降谷さんに写真をお送りしたところ、お買い上げなさるとおっしゃっていたので”






写真.....着替え終わった後にサロンで風見さんが写真を撮ってたのはそういう事だったのか






風見 “フォーマルなお洋服は一着くらいは必要ですからね”









という会話に口をあんぐりさせた


普段ケチなくせに、時々大胆なんだよね









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これまた背負われて玄関の前に着いた時





降谷「内ポケットに鍵が入っている」





両手がふさがっているパパの代わりに鍵を探り出してドアの施錠を解く





そのまま私の部屋へと一直線に向かうと、ベッドに降ろされた









降谷「風呂は明日にしておけ。後ろを向けるか？」


『え、なんで？後ろ？』


降谷「ファスナー、自分で下ろせないだろ」


『.......』







言われてみればそうだけど、そんなの絶対嫌だ






『自分で出来るよ！』









上から手を伸ばして少し下げて、今度は下から伸ばす








.....が







『.....あれ』


降谷「.....お前身体硬いんだな」


『うるさい！』









声を出しながらもう一度チャレンジしてみるがやはり届かない







『.....え、やだ！！』









視界が暗くなって、抱きしめられた









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というわけではなく、ファスナーを降ろしてくれた









『自分で出来るって言ったじゃん！変態！！』


降谷「明日は動けるなら少し歩け。無理だけはするな。」









無視された挙句、それだけ言い残して出て行かれたこの部屋は、不快なくらい静かになる

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