6話 ページ7
Aとは違い照れくさそうに返事をする新一にAはクスクスと笑みを溢す。その態度に新一は「何だよ!」と更に頬を赤く染めた。蘭はその可愛らしい笑顔に見とれつつも、新一をキッと睨んだ。
「それあげるから約束してね、新一くん。私、泣き虫なんかじゃないから!!もう泣き虫だなんて呼ばないで!」
===
(もうり、らん…か)
幼稚園に通い始めて暫く経った頃、いつものように両親の仕事終わりまで工藤家に預かって貰っていたAは、彼らの家にある広い書斎のソファーに腰掛け、蘭のことを考えていた。あれ以来ろくに話したことはないが、彼女の笑った顔が、脳裏に鮮明に思い出される。
「ぜーーーーーったい可笑しいよアイツ!!」
「アイツって担任の江舟先生のこと?」
そんな彼女の傍ら、新一は思い切って、幼稚園に入ってからずーっと気になっていた担任のことを優作と有希子に話していた。
お昼寝の時、とある少女だけ布団の位置がいつも決まってること、公園に行くとき、いつも江舟はその少女の手を握っていること。そして公園の滑り台で、他の子が順番を待ってるのに、少女だけ優先させたこと。
どれもちゃんとした理由を返されたが、一度江舟の凶悪な顔を見てしまった二人は、それを信じることが出来なかった。Aはソファーから立ち上がって優作の目の前にいた新一の横に並ぶ。
「そういえばAちゃん、公園へ行く道が危険になったと言ってなかったかい?」
訴えるような目で話す新一の様子をじっと聞いていた優作は、思い出したようにAに問いかけた。
『あ、うん。その理由は明日話すって』
「んで?その新ちゃんやAちゃんが言ってる女の子の名前は?」
有希子に一番聞かれたくない質問をされた新一は、声を詰まらせて「そ、それは…」と言葉を濁す。口を噤む彼の隣で、凛とした声が代わりに響いた。
『蘭』
「…え?」
『毛利蘭って子だよ。私と新一に名札をくれた…』
Aのはっきりした声に有希子が聞き返すと、彼女は嬉しそうに優作の机の上に乗った紙の桜を見つめて言った。その表情を見て、有希子は何かひらめいたように口角を上げる。
「はっはーん?さてはAちゃん、その蘭ちゃんって子が先生に可愛がられてるの見て…
やきもちやいてるなー?」
『え?』
「え!?」
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mリン(プロフ) - 宵夜さん» こんにちは、コメントとご指摘ありがとうございます!修正が上手く行ってなかったようです。教えてくださりありがとうございました。また何かありましたらコメント宜しくお願いいたします! (2022年3月20日 16時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
宵夜(プロフ) - とても面白くて良かったです!少し質問なんですが、ページ14の『(小さくなったあなたの仮名)』って目次ページで設定したものですか?変換されていないようでしたので一応報告と思い…不快であれば消して頂いても構いません。 (2022年3月11日 0時) (レス) @page14 id: 5d45bacd52 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - マナさん» 久しぶりにきたのでご返信が遅くなってしまい申し訳ありません。数年前の私が作成した拙い内容ですがそれでも宜しければどうぞ使ってやってください…!わざわざコメントありがとうございます! (2022年2月20日 14時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 私なりに作品を参考させてもらっていいですか? (2022年1月30日 8時) (レス) @page1 id: 25d45421cb (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!映画沿いもありますので是非ご覧ください。 (2019年5月22日 7時) (レス) id: 148773b33b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2017年4月21日 21時