2話 ページ43
その後、阿笠博士の提案で蘭の家である毛利探偵事務所にお世話になることになった新一とA、改めコナンと夏樹は、工藤邸を出て蘭と一緒に事務所に向かっていた。
蘭は右手に傘、左手は夏樹と手を繋いでいる。そして夏樹は反対の手でコナンと手を繋いでいた。
コナンは涼しい顔をしているものの、内心では心臓が激しく脈打っている。
「ねえ、夏樹ちゃんとコナン君は学校に好きな子とかいる?」
三人で雨上がりの路地を歩いていると、突然蘭がそんな話題を二人にふった。藪から棒に何だろう、と思いつつも夏樹はいないよ…と笑い、その横でコナンが軽くダメージを受けている。
彼女はそんなコナンを不思議に思いながら、今度は蘭に問いかけた。
『蘭姉ちゃんはいるの?』
「……うん、いるよ」
蘭の顔が若干赤いのを見て、ハッとした夏樹はからかうように続ける。
『そ、それってもしかして…さっき話してた新一兄ちゃんのこと?』
夏樹の横を歩いていたコナンが異常に驚いた。彼女のあまりにも的を外れた質問に、蘭も苦笑いを浮かべる。
「違うわ、確かに新一も大切な幼なじみだけど………それ以上に私が思ってるのは、もう一人」
蘭はピタリと足を止め、夏樹の方を振り返った。
(それって、もしかして…………___)
夏樹はみるみる顔が赤くなっていく。
「蘭姉ちゃんはA姉ちゃんが好きなんだね」
コナンが最後のとどめというように爆弾を投下すれば、ぼふと夏樹がショートした。彼女は混乱した頭をなんとか回転させて会話についていく。
「…そうよ」
そう薄く笑った蘭の表情を見て、夏樹はコナンと繋いでいた方の手に無意識に力を込めた。
「バカで、ホームズオタクで、すごい鈍感だけど………いざというときは頼りになって、かっこよくて、それでいて可愛いの。
私、Aがだーいすき!」
蘭からポンポン出てくる褒め言葉に、夏樹の耐久心は悲鳴をあげていた。とんでもないカミングアウトに、どんな反応をすれば良いか分からない。コナンはケッとそっぽを向いて会話に耳を傾けていた。
二人の正体がAと新一であると蘭にばれたら殺されるかもしれないと夏樹は頭の隅で思った。
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mリン(プロフ) - 宵夜さん» こんにちは、コメントとご指摘ありがとうございます!修正が上手く行ってなかったようです。教えてくださりありがとうございました。また何かありましたらコメント宜しくお願いいたします! (2022年3月20日 16時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
宵夜(プロフ) - とても面白くて良かったです!少し質問なんですが、ページ14の『(小さくなったあなたの仮名)』って目次ページで設定したものですか?変換されていないようでしたので一応報告と思い…不快であれば消して頂いても構いません。 (2022年3月11日 0時) (レス) @page14 id: 5d45bacd52 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - マナさん» 久しぶりにきたのでご返信が遅くなってしまい申し訳ありません。数年前の私が作成した拙い内容ですがそれでも宜しければどうぞ使ってやってください…!わざわざコメントありがとうございます! (2022年2月20日 14時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 私なりに作品を参考させてもらっていいですか? (2022年1月30日 8時) (レス) @page1 id: 25d45421cb (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!映画沿いもありますので是非ご覧ください。 (2019年5月22日 7時) (レス) id: 148773b33b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2017年4月21日 21時