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side A
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「ぶよぶよですか?」
侑の生意気な減らず口にカチンときた。
「おいおいおいおい誰がブタじゃ」
海やから水着や、と言われ一応着てきたは良いものの、いざとなると恥ずかしくて躊躇っていた。
安い挑発だとは思いながらも、乗ってしまうのが私である。
「お前はよコート行けボコボコにしたるわ」
Tシャツを脱いで近くにいた理石に押し付け、ショートパンツを脱ぎ捨てる。
怒りは何にも勝る、どこかで聞いた言葉を思い出す。
私は尾白を連れてコートに入った。
「えっアランくんはせこいやん!」
とかなんとか言う侑の声は無視だ。
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尾白が頑張ってくれたのと、角名が全然動けなかったおかげで私は宣言通り侑をボコボコにできた。
「……てか南さん動けはるんですね」
「お前らを追いかけ回してんの誰や思てんねん」
砂浜に座り込んでいた侑はまだ動き足りないのか、つぎ北さん俺とやってください!と声を上げている。
どこまでも脳筋だ、と呆れた。
部活とは少し違うただ楽しいだけの時間が過ぎていく。
信介もそんな風に思っているのか、今日はいつになく楽しそうな感じがした。
侑に「ええで」と返しながら上着を脱いでいる。
侑の上半身を見ても、尾白のを見ても、治のを見ても銀のも角名のも大耳も赤木も、誰も何とも思わないのに。
信介だけはアカンかった。
なんか、照れた。
そんな自分が恥ずかしくて、
「信介って着痩せするタイプなんか」
ってからかうみたいに言ってしまった。
でもほんまは、知ってた。
思ってるよりガッチリしてること。
「ほんま、北さん見かけによらず筋肉ありますね!」
私の言葉に侑が便乗してくれて助かった。
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みんなで美味しい物を食べて、体力が尽きるまで遊んで、こんなに楽しくていいんかなあって心配になる。
日も暮れてきて、誰かが言い出して、花火をすることになった。
パチパチ言ってる花火に照らされている皆は顔は緩んでいて、私もつられて笑顔になった。
私にとっても、皆にとっても良い気分転換になったと思う。
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なず@ヴィル様の旦那です(プロフ) - うびゃぁ…………今まで読んできた中で一番好きです… (2021年4月10日 16時) (レス) id: c2e37a127a (このIDを非表示/違反報告)
依(プロフ) - ちびさん» そう言ってもらえると嬉しいです^^お読みいただきコメントまで、本当にありがとうございます! (2020年6月5日 22時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - めっちゃ感動しました!!最高です( ; ; ) (2020年6月2日 20時) (レス) id: c0c643d2d0 (このIDを非表示/違反報告)
Rikka(プロフ) - りるとさん» そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます^^ (2020年4月17日 8時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
りると - めちゃくちゃいい話でした!! (2020年4月15日 0時) (レス) id: 615da3bcde (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Rikka | 作成日時:2020年3月18日 10時