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side 侑
．
南北事件から1週間経った。
俺は今激怒している。
「なあ、どういうことか、俺が納得するように説明してくれへん？」
我ながらドスの効いた良い声だ。
目の前の女子3人は誰も俺と目を合わせない。
「なあ。何か言いや」
俺は昨日、聞いてしまった。
そして今日、今、見たのだ。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
昨日の放課後、部活が終わって部室を後にした。
校庭まで行った俺は忘れ物に気づいた。
迂闊やった。
部室はまだ電気がついてて、誰かおるな思てちょっと空いてたドアから中見たら、他でもない北さんと南さんやった。
俺は好奇心に負けてまた聞き耳を立てた。
北さんに抱きしめられている南さんの声はくぐもっていて聞きづらかった。
「……てて、……はノート捨てられてて……」
「うん」
「……うか歩く度、っ……言われて、……っは、」
「うん、ゆっくりでええよ」
南さんは大泣きやし、北さんは聞いたことないくらい優しい声やった。
南さんって相当我慢してたんやなあ。
どうやら、俺の周りにいた女子たちは、実際に南さんに嫌がらせをしていたらしい。
全く、気が付かなかった。
ほんまに南さんは、どこまでも強くて優しい人なんやと思った。
盗み聞きしていていたたまれなくなった俺は忘れ物のことはすっかり忘れて、走ってサムたちを追いかけた。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
そんで今日。
掃除で遅れて部活行こうとしたら、見たことあるような気がする女子が、いつも南さんが靴を履き替えてるとこにおった。
あいつらが逃げへんうちに、と思ってすぐに靴箱を覗いたら、『はよ辞めろ』だの『侑くんに近寄んな』だの『色目ばっか使ってんな』だのと、どうして南さんにそんなことが言えるのか、と思うような言葉の並べられた紙が何枚もあった。
すぐに俺はそれをつかんであいつらを追いかけた。
だから今、俺は怒っている。
「そ、それは」
「もうええもうええ」
「そんな、ちゃうねん、」
何がちゃうんやろなあ。
「何がちゃうねん。俺はお前らの話に興味無いし、自分が可愛ええんやったら今すぐ消えろ。ほんで二度と南さんに関わるな」
俺はそう言ってぐしゃぐしゃにした紙切れを投げて返した。
後ろで泣いとる声がした。
でも俺は北さんとか南さんみたいに優しくないから、お前らが泣こうが知らん。
あんなに素晴らしい先輩を傷つけた罪は重いで。
俺は何となくいい事をした気持ちで部活に向かった。
．
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なず@ヴィル様の旦那です(プロフ) - うびゃぁ…………今まで読んできた中で一番好きです… (2021年4月10日 16時) (
レス) id: c2e37a127a (このIDを非表示/違反報告)
依(プロフ) - ちびさん» そう言ってもらえると嬉しいです^^お読みいただきコメントまで、本当にありがとうございます！ (2020年6月5日 22時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - めっちゃ感動しました！！最高です（ ; ; ） (2020年6月2日 20時) (レス) id: c0c643d2d0 (このIDを非表示/違反報告)
Rikka(プロフ) - りるとさん» そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます^^ (2020年4月17日 8時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
りると - めちゃくちゃいい話でした！！ (2020年4月15日 0時) (レス) id: 615da3bcde (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Rikka | 作成日時：2020年3月18日 10時
