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双子の活躍は言わずもがな、みんなの頑張りでインターハイでは3位になった。
きっとみんな満足はしていないんだろうな。
私もそのひとりだ。


それから宮ツインズ効果だろうか、応援は去年よりずっと多かった。
侑のサーブ時の暴言と支配的な拳は相変わらずで、全国でも繰り出されて、その度にその恐ろしさに身震いした。


そしてここで引退する先輩もいる。

「先輩、お疲れ様でした」

学校について、バスから降りて一人で挨拶をした。
試合会場で一応みんなとも挨拶はしたけれど、足りなくて。


「おう、南。ありがとう。南もまだまだ大変やなあ」
「頑張ります。先輩もまた見に来てくださいよ」

それから、次のキャプテンは北だろうなあって話していた。
さすがに気が早い、と思ったけど、もう引退する人だっているのだからそうでもないな。

時期キャプテンか。
あんまり考えたこと無かったな。

まあまだ3年生がキャプテンな訳だけど、と思いつつも確実に意識するようになった。

そしてもう1度、 ありがとうございました って言って先輩とは別れた。





「南、帰ろか」

突っ立っているといつの間にか隣に来ていた北に声をかけられた。


8月になって、すっかり日が長くなった。

まだほんのり明るい夜道を2人で歩く。


「なあ北」
「なんや」
「北はキャプテンしたいとか思う?」

私の問いに、北はこっちを向いて固まった。
それから
「考えたこと無かったわ」
と呟いた。
「やることちゃんとやって、その結果は」
「副産物、やもんな」
続けた北を遮るように口を挟んだ。

せや、と頷く北はやっぱり誰よりも凄い人に見えた。


「ほな次は春高や!北、がんばろな」

いつものように気合いを入れようと、頬を叩こうとした私の手は、止まった。
否、止められた。
いつの間にか私の正面に立った北が、私の両腕を掴んでいた。

私が なんや、と言うより先に、私をじっと見つめる北が口を開く。


「無理せんときや」

いつの日かのように、また心臓がぎゅうっと掴まれたようになった。
そしてそれだけ言うと、北はぱっと手を離してまた歩き出した。


「……うん」


あっけに取られていた私は、ハッとして北に駆け寄った。


その後何を話したかはあんまり覚えてなくて、

私が嫌がらせされてんの、バレてんのやろか
何やろ、この感じ
北ってなんなんやろ
顔に出てたかな、あかんな

と支離滅裂に思考を駆け巡らせていた。

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なず@ヴィル様の旦那です(プロフ) - うびゃぁ…………今まで読んできた中で一番好きです… (2021年4月10日 16時) (レス) id: c2e37a127a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ちびさん» そう言ってもらえると嬉しいです^^お読みいただきコメントまで、本当にありがとうございます! (2020年6月5日 22時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - めっちゃ感動しました!!最高です( ; ; ) (2020年6月2日 20時) (レス) id: c0c643d2d0 (このIDを非表示/違反報告)
Rikka(プロフ) - りるとさん» そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます^^ (2020年4月17日 8時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
りると - めちゃくちゃいい話でした!! (2020年4月15日 0時) (レス) id: 615da3bcde (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Rikka | 作成日時:2020年3月18日 10時

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