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「見つけた … 、」
慧に別れを告げたあの日、思い出を全部ゴミ箱に捨てた。
私はそれを、漁って。探した。
「これだけは … 持っとこう、」
伊野尾さんが大事に持っていたくまのキーホルダーの片割れ。ハートが半分になっているから、一目見ればすぐに片割れだと気付くだろう。
もちろん、これを伊野尾さんに見せようなんて思ってないけど。
「お守り、… 」
お守り。そう思って私はカバンの中にそのキーホルダーを入れた。
有岡「A、ご飯できたよ」
「わ〜!すごい!」
有岡「いのちゃんにレシピ貰ったのそのまま作ってみただけだけど…笑」
今朝、大貴が突然、俺に夜ご飯を作らせてくれ。と頼んできた。
絶対うまいの作るから!なんて、料理をろくにしたことがない大貴が自信満々に言うから、なんでかと思ったけど…レシピをもらってたなんて。
有岡「あの店に会社の同僚連れてったらもう大喜びだよ、」
「へぇ、美味しいもんね」
有岡「じゃなくて、いのちゃんがイケメンだから、」
「え、女の子と行ったの?」
有岡「あ〜…まぁね、でもほら、複数人でだよ?」
ふぅん。聞き流しながらちょっと傷つく。… こんなちっぽけな事でヤキモチやくようになったのか。なんて自分でもびっくりだけど。
「…あのね、」
有岡「ん?」
「これ、」
なんとなく、ちゃんと言うべきだと思ったから。私はさっきゴミ箱から出したくまのキーホルダーを大貴に見せた。
有岡「これ…いのちゃんとのやつ?」
「そう、」
有岡「なんで」
「違うよ?伊野尾さんが好きになったとか、そんなんじゃないの、でも、お守り」
有岡「お守り?」
「そう、… 私、今、伊野尾さんに会う度に泣いちゃうから、」
そんな弱い私を、助けてくれるお守り。
そう言うと大貴は、そんなの俺が助けてやるのに。なんてかっこいいこと言いながら笑う。
有岡「まぁ、お守りなら、持っててもいいんじゃん」
「うん…、」
大貴に隠さず、正直に言う。こんなこと、昔なら考えられなかったけど。
私と大貴の間には、確実に信頼が生まれていて。
私はそれに、ほっとした。
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作者名:莉音 | 作成日時:2019年1月9日 11時