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#46 ページ8

「見つけた … 、」









慧に別れを告げたあの日、思い出を全部ゴミ箱に捨てた。
私はそれを、漁って。探した。









「これだけは … 持っとこう、」









伊野尾さんが大事に持っていたくまのキーホルダーの片割れ。ハートが半分になっているから、一目見ればすぐに片割れだと気付くだろう。
もちろん、これを伊野尾さんに見せようなんて思ってないけど。









「お守り、… 」









お守り。そう思って私はカバンの中にそのキーホルダーを入れた。









有岡「A、ご飯できたよ」
「わ〜!すごい!」
有岡「いのちゃんにレシピ貰ったのそのまま作ってみただけだけど…笑」









今朝、大貴が突然、俺に夜ご飯を作らせてくれ。と頼んできた。
絶対うまいの作るから!なんて、料理をろくにしたことがない大貴が自信満々に言うから、なんでかと思ったけど…レシピをもらってたなんて。









有岡「あの店に会社の同僚連れてったらもう大喜びだよ、」
「へぇ、美味しいもんね」
有岡「じゃなくて、いのちゃんがイケメンだから、」
「え、女の子と行ったの?」
有岡「あ〜…まぁね、でもほら、複数人でだよ?」









ふぅん。聞き流しながらちょっと傷つく。… こんなちっぽけな事でヤキモチやくようになったのか。なんて自分でもびっくりだけど。









「…あのね、」
有岡「ん?」
「これ、」









なんとなく、ちゃんと言うべきだと思ったから。私はさっきゴミ箱から出したくまのキーホルダーを大貴に見せた。









有岡「これ…いのちゃんとのやつ?」
「そう、」
有岡「なんで」
「違うよ?伊野尾さんが好きになったとか、そんなんじゃないの、でも、お守り」
有岡「お守り?」
「そう、… 私、今、伊野尾さんに会う度に泣いちゃうから、」









そんな弱い私を、助けてくれるお守り。
そう言うと大貴は、そんなの俺が助けてやるのに。なんてかっこいいこと言いながら笑う。









有岡「まぁ、お守りなら、持っててもいいんじゃん」
「うん…、」









大貴に隠さず、正直に言う。こんなこと、昔なら考えられなかったけど。
私と大貴の間には、確実に信頼が生まれていて。



私はそれに、ほっとした。

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作者名:莉音 | 作成日時:2019年1月9日 11時

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