誰かのために【TOKYO MER】 (ページ10)

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『あ、おはようございます。』
「おはようございます。」

詰所に行く途中のエレベーターで音羽先生と会った。なんとなく気まずさを感じる…。まあ、私が一方的に感じてるだけかもしれないけど…。

「なにか？」
『え？いえ、なにもありませんけど…。』
「そうですか。では、意味もないのにこちらを見つめるのはやめてください。」
『あ、はい。』

私がいろんなことを考えている間、音羽先生のことをじっと見ていたらしく(自覚はない)やめてくれと言われてしまった。別に何か話すこともないので黙ってエレベーターの隅を見つめていた。心の中で『早くついてくれ』と念じながら。

エレベーター内に居た時間は、めちゃめちゃ長く感じた。ちなみに今の状況はというと、数歩前に音は先生がいてその後ろを私が歩いているといった状況。隣を歩くのはまず無理だし、かといって前を歩くのもなんだか嫌だったので後ろをついていく形になった。

「おはようございます。」『おはようございます！』
「おはようございマス！」
「音羽先生と玲奈先生、一緒にいらしたんですね。」
『えぇ、たまたまエレベーターで会ったので。』
「なるほど。」

私が夏梅さんと話しつつ、椅子に座ろうと歩いていると音羽先生と喜多見チーフが話し始めた。

「何をしてるんですか？」
「体幹ですよ、体幹トレーニング。一緒に汗流しますか？」
「いらないですよね？医者にそこまでの筋力は。」
「いりますよ、MERの医者には。」
「ミーティングの時間です。」
「お、すいません。」

ミーティングを始めるらしい。

「第一回出動に関して、私なりに簡単にレポートにまとめてみました。」
「お。」
「問題点や関係機関の反応をレークしてあります。」
「やる気満々じゃないですか、音羽先生！」
「ミンさんには英語で作ってきました。」
「ありがとうございマス！」
「すげ。」
「すごい！」
『さすが官僚、って感じ。』
「音羽先生が感じた問題点は医者が危険を顧みずに医療行為をしていたこと、ですか？」
「えぇ。その点は関係機関も指摘しています。東京消防庁。レスキュー隊への行動妨害に関してクレーム。特に爆発の危険があったバス内に安全確認もせずに侵入したことが被害拡大のリスクがあったと批判。」
「千住隊長怒ってましたもんねぇ。」
『わかってたんですね…。』