標的30 姫は俺のもの−２ ページ33
トーマ視点
ボクはそれを棍で弾いて、ベルフェゴールの元まで走り棍を振り上げた。
ベルフェゴールは簡単にそれを躱し、わざとボクから少し逸らしてナイフを投げる。
ナイフにはワイヤーが繋がっている。
ボクはワイヤーを潜り抜け、棍を薙ぎ払う。
ベルフェゴールはバックステップで避けた後、天井に向かって十数本、壁と床に向かって更に十数本のナイフを投げた。
カカッ、と云うリズムと共にナイフが綺麗に刺さる。
一見すると明後日の方向に投げられた様に見える それらは、しかし棍を振り回すスペースを無くす為の物だ。
ボクは顔を顰めながら棍をペンダントに戻した。
ベルフェゴールが次のナイフを構えた処で魔法を発動させようと手を構えるけど、彼と目が合ったような気がして呪文を唱えられない。
構えていた手を下ろした。
ベルフェゴールは「ふうん」とボクを見つめ、そして真顔でこう言った。
｢雪戦の時の動きの切れは何処に行ったんだ？
なんで呪文を唱えねーの？
俺が答えを教えてやるよ。
……お前、王子を敵として見られないんだろ｣
ボクはフードの中でこれでもかと目を見開いた。
「なっ、」とつい声を漏らす。
何故それを、ベルフェゴールが知っているんだ。
山本はスクアーロがザンザスに情報を教えたのではないかと言っていたが、今日、スクアーロが来ていない事によってその仮説は否定された。
スクアーロは死んだと断言するチェルベッロに、ヴァリアーは誰一人として反応しなかったのだ。
演技の可能性もあるが、隠す理由が無い。
ボクの無言を肯定と受け取ったベルフェゴールは、「やっぱりな」と呟いた。
不意にベルフェゴールがナイフを投げて来た。
突然の事と動揺していたせいで、反応が遅れる。
反射的に後退ったボクのマントは、壁に縫い付けられてしまった。
身動きが、取れない。
ベルフェゴールは最低限のワイヤーだけを切断し、ボクの正面に立った。
くいと顎を持ち上げられ、強制的に視線を合わせられる。
フードは外されてしまった。
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ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください！ (2019年7月2日 18時) (
レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつも楽しみにしております！これからもどうぞ無理をしない程度に頑張って下さい。 (2019年4月27日 13時) (レス) id: 1e9e5f7638 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル | 作成日時：2019年4月27日 10時
