標的19 応援と助言−２ ページ4
麗羅視点
教室に入ると、一番に京子さんと黒川さんに話し掛けられた。
一週間以上も無断で休んでいたのだ、心配されない筈が無い。
風邪を拗らせた上に一人暮らしで連絡も出来なかったと咄嗟に嘘を吐く。
心配してくれた二人に罪悪感を覚えるが、こればっかりは仕方無かった。
京子さんが喉飴を渡してくれた。すーすーと冷たいレモン味が口内に広がる。
其処で獄寺君と山本君が一緒に教室へ入って来た。
山本君から顔を逸らして むすくれていた獄寺君は、しかし あたしと目が合うと満面の笑みで近寄って来た。
「おはようございます！」と溌剌とした声の後に、「はよー」と穏やかな声を掛けられる。
あたしは二人に挨拶をした。
二人は京子さん達から あたしを引き剥がすと、小声で話し掛けて来た。
｢学校に来て大丈夫なんすか？
雪戦、今晩っすよね｣
｢まーね。でも何だか緊張しちゃったから、久しぶりに皆の顔が見たくなって｣
｢麗羅さんなら大丈夫っすよ。
この前だって刺客を撃退しましたし｣
この前の刺客とは、光学迷彩を着た二人の事だろう。
「ね！」と親指を立てる獄寺君が自信を付けようとしてくれているのは明白で、あたしは顔を綻ばせた。
隣にいる山本君に眼を向ける。
今日は大人しい彼は、何かを言いたそうにしている。
だが、獄寺君をちらちらと見ている辺り、此処では話し難い事なのかもしれない。
そう思ったけれど、あたしが口を開く前に山本君が話を持ち出した。
｢そう云やスクアーロがさ、『ファルソの武器には気を付けろ』って言ってたぜ。
ファルソって、麗羅の対戦相手だよな？｣
｢うん。ファルソの武器に気を付けろ、ね……｣
｢野球馬鹿！ そう云うのはもっと早く言え！
って、スクアーロはなんで、俺達に助言したんだ？｣
獄寺君の疑問にあたしも頷く。
すると山本君は口を開閉させたが、次には「さあな」と恍けていた。
頬に片手を宛てて考える。
ファルソさんの武器も技も知っているが、スクアーロさんが わざわざ山本君伝いに あたしへ教える程の物だっただろうか。
獄寺君の言う通り、そもそも助言をしてくれた事も謎だ。
ざわ、と胸が騒めく。
一度は落ち着いた筈の鼓動が速くなる。
嫌な予感がする。
『気を付けろ』『何かが違う』あたしの中の何かが、警鐘を鳴らしている。
クラスメイトの女子が付けている林檎のヘアピンが何故か視界に飛び込んで来て、脳裏に焼き付いて離れなかった。
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ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください！ (2019年7月2日 18時) (
レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつも楽しみにしております！これからもどうぞ無理をしない程度に頑張って下さい。 (2019年4月27日 13時) (レス) id: 1e9e5f7638 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル | 作成日時：2019年4月27日 10時
