標的23 傍観と偽雪−３ ページ16
ツナ視点
鎖鎌を凍らせながらトーマが距離を詰める。
そして零距離で唱えられた魔術は、ファルソの全身を凍らせる。
トーマが手を叩くと、それは跡形も無く消えた。
大怪我を負ってしまったものの、トーマは勝利した。
首も繋がっている。
「やった」と声を上げるお兄さん達に、俺は頷くだけで精一杯だった。
トーマが、麗羅が生きていると云う事実が嬉しくて、視界が僅かにぼやける。
張っていた緊張の糸が切れ、俺は腰が抜けた。
もし麗羅が死んでしまったら。
そう考えるだけで、酷く恐ろしかったのだ。
麗羅は俺の最初の友達だから。
麗羅は何時も俺と一緒にいてくれて、一緒に笑ってくれたり、一緒に振り回されたり。
他の皆も大切な仲間だけれど、麗羅は一番の親友なんだ。
俺達は空気の箱に下りてトーマの元に駆け付けた。
トーマが倒れたのには肝が冷えたが、受け止めた山本が「眠ってるだけだ」と言ったので胸を撫で下ろす。
獄寺君が倒れている少年を抱き抱えた。
トーマの最も大切な人らしい。
｢一体誰なんすかね｣
｢うん。此方に来る前の人なのかな｣
会った事の無い人だ。
緑色の髪なんて日本人では絶対に有り得ないから、トーマがイタリアにいた時の知り合いに違いない。
でも、そう云えば俺は、トーマが此処に来るより前の事は殆ど知らない。
超の付く田舎にいて、色々と常識が通じない事位しか。
｢明晩はいよいよ、最後の争奪戦守護者対決……雲の守護者の対決です｣
チェルベッロが言うと、ヴァリアーが用は済んだと言わんばかりに帰ろうとする。
俺は「待って！」と呼び止めた。
壁に拘束されたままになっている、ファルソの最も大切な人を指差す。
｢この人は連れて行かないの！？｣
｢何故俺らが連れて行かねばならぬのだ。
そ奴がどうなろうと、どうでも良い｣
そう答えたのはレヴィで、ベルフェゴールは「関係ねーし」と笑い、ザンザスに至っては視線を一瞬向けただけだった。
今度こそヴァリアーは帰って行った。
リボーンが山本の肩に飛び乗る。
｢俺らで身柄を引き取る訳にも行かねぇ。
チェルベッロが何とかするだろ｣
リボーンにそう言われてしまえば、何も言い返せない。
俺達はプールに上がる事にした。
皆が校門へ向かう中、俺は立ち止まって振り返った。
空気の箱は見えないけれど、俺は小さく手を合わせた。
｢どうされましたか、十代目？｣
｢ううん、何でも無い！｣
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ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください！ (2019年7月2日 18時) (
レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつも楽しみにしております！これからもどうぞ無理をしない程度に頑張って下さい。 (2019年4月27日 13時) (レス) id: 1e9e5f7638 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル | 作成日時：2019年4月27日 10時
