標的70 お見舞い−１ ページ31
麗羅視点
――コンコン。控えめなノックの音がした。
「どうぞ」と応えると、病室の白い引き戸が開かれた。
入って来たのは、獄寺君とリボーン君だった。
「起きてたんすね」獄寺君がほっと胸を撫で下ろし、「調子はどうだ？」リボーン君がベッドに飛び乗って尋ねる。
あたしが「まあまあかな」と返事をすると、リボーン君が一つ頷いた。
｢お前、四日間も眠ったままだったんだぞ｣
｢そうだったんだ。
じゃあ、六道骸さんはどうなったの？｣
｢ああ、それはだな――｣
二人から本館に入った後の話を聞かせてもらった。
途中で現れた柿本君と獄寺君が戦って、其処に城島君も参戦して絶体絶命になった時、監 禁されていた雲雀先輩が二人を咬み殺したらしい。
一方、ツナ君は強い覚悟によってレオンから生み出されたグローブと特殊弾で超死ぬ気モードになって、六道骸さんの邪気を浄化したと云う。
その後六道骸さん達は、マフィア界の掟・復讐者に連れ去れた。
無事解決出来たみたいで安心した。
またイレギュラーな事が起きたせいで負けたとあったら、途中で離脱してしまった自分を恨み切れない。
それに負けていたら、今までの平和(？)な日常を過ごせなくなっていた。
「飲みますか？」サイドテーブルに置いてあったペットボトルを右手に、紙コップを左手に、獄寺君が訊いて来た。
自分で注ごうと思ったのだが、右手を怪我しているからと断られてしまった。
｢獄寺君、ありがとー。
此処にある麦茶って、獄寺君が持って来てくれたの？｣
｢はい！ 起きた時、麗羅さんが喜んで下さるかと思いまして｣
獄寺君がビニール袋から新たに二本の麦茶を取り出した。
サイドテーブルには、ずらっと麦茶のペットボトルが並んでいる。
この部屋には冷蔵庫もあるから、もしかしたら その中にも入っているのかもしれない。
四日間も麦茶を摂取していなかったから、とても有難かった。
獄寺君も麦茶が好きみたいだし、退院したら また麦茶味のお菓子でも作ろうか。
そう言うと、獄寺君は「ありがとうございます」と微笑んだ。
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作者名：レイチェル | 作成日時：2018年10月19日 17時
