標的65 自分の意思−２ ページ20
リボーン視点
｢麗羅さん、大丈夫っすか？｣
獄寺が声を掛ける。
寝転がった状態のままの麗羅は、ほんの数秒だけ空を眺めた後、僅かに「うん」と頷いた。
良かったと胸を撫で下ろす。
山本達は安堵の表情を見せるが、ツナはくっと眉を吊り上げて怒鳴った。
「なんで あんな事したんだ！」と。
｢麗羅も樹と一緒に燃えるかもしれなかったんだよ！
また皆で笑い合いたいから骸を倒しに来たのに、麗羅がいなかったら意味無いじゃん！｣
ツナは皮膚に爪が食い込む程に拳を握った。
その言葉に、麗羅は大きく目を見開いた。
それから「ごめんね」と謝り、今にも泣きそうになった顔を徐に上げた腕で隠した。
ずず、と鼻を啜る音。
重くなった空気を晴らすように、山本がツナの背中を軽く叩いた。
｢まあまあ、そう怒んなって。
こうして麗羅が勝ったんだしさ｣
山本の爽やかな笑顔を見て、頷いたツナの表情が和らいだ。
俺は焼け落ちたドームを見る。
山本は「勝った」と言ったが、あの残骸の中にはナハトの焼死体は無かった。
ネーミングセンスを疑うが、『俺の領域』と云うだけあって、ちゃんと自分用の出入り口は用意されていたと云う事か。
死ぬ気の炎を使う事と云い、奴は只者では無い。
「麗羅さん」ツナと麗羅以外には絶対にしないだろう。
獄寺は顔を隠す麗羅の腕に、優しく手を乗せた。
のそりと腕を下ろした麗羅の目元は、若干赤くなっていた。
｢心配掛けてごめんなさい。
もう あたしは大丈夫。
だから、また戦わせて下さい｣
そう言う麗羅の目には、しっかりとした自分の意思が宿っていた。
「頼むぞ」俺が笑みを浮かべると、麗羅は顔を綻ばせながら大きく頷いた。
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作者名：レイチェル | 作成日時：2018年10月19日 17時
