【リボーン】並盛に舞い降りる白雪Ⅴ (ページ14)

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標的53　恋色ハナビ－１ページ14

麗羅視点

「窃盗犯の盗んだ金は僕の物だよ」きっと雲雀先輩が睨み付ける先にいるのは、窃盗犯から取り返した売り上げに覆い被さるツナ君だ。

賽銭箱の前まで追い掛けて来たあたしとツナ君は、何十人もの窃盗犯の仲間達に取り囲まれて、絶体絶命の状況だった。

しかし、其処に京子さん達から事情を聞いた獄寺君と山本君、窃盗犯を探していた雲雀先輩が加わった。

そうして窃盗犯達を五分もしない内に壊滅させたのは良かったのだが……。

窃盗犯からツナ君に標的を変え、雲雀先輩は今にもトンファーを振り回しそうだ。

その二人の間に獄寺君と山本君が割り込んで、それぞれダイナマイトとバットを構える。

まさに一触即発の状態だ。

どうにか雲雀先輩を抑えなければ。

あたしは無謀にも、見ているだけで此方が暑くなる学ランの裾を掴んだ。

｢あれはツナ君達が一生懸命働いて稼いだお金なんです。
だから、あのお金だけは見逃して頂けませんか？｣

鋭く細められる黒目に負けじと、あたしも出来る限り目を食い縛って対抗する。

すると、小さく溜息を吐いた雲雀先輩が先に目を逸らした。

｢君にはおにぎりの借りがあるからね｣

そう言い、雲雀先輩はあたしの手を振り払って……有ろう事かあたしの頭に手を置いてから、石階(いしばし)を下りて行った。