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標的12 王子様と物語−２ ページ32
｢何も書いてないじゃん。
こんなんに一々騒ぐなんて、姫は変わってんな｣
興味が失せたと言わんばかりに、物語を投げ渡された。
何も書いていない筈が無い。
もう一度ページを開いてみると、やはり ちゃんと未来が書かれている。
(ベルさん、どうして何も書いてないって思ったんだろ)
《お前にしか読めないようにしてあるからな。
他の奴に見られても、新品同様の日記帳にしか見えない》
(それを早く言ってよ〜！)
脱力した。ローシさんが初めに言ってくれていたら、此処まで動揺する必要は無かったのに。
寿命が三秒くらい縮んだ気がする。
深い溜息を吐くと、ベルさんに顔を覗き込まれた。
｢さっきから どうしたんだよ？
どっか具合でも悪い？｣
｢あ、いえ。そんな事は無いですよ｣
｢ふーん。じゃ、早く行こうぜ｣
ベルさんに手を握られ、強引に立ち上がらせられた。
そのまま部屋を出て、長い廊下に出る。
まさか、ずっと手を握っているつもりなのだろうか。
顔がにやける。
｢手、離して下さいっ｣
｢んー。にやけ顔の姫が可愛いからヤダ｣
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作者名：レイチェル | 作成日時：2018年3月14日 14時
