弐拾陸ー正しさ。 ページ13
虎杖「ねえ、Aさん。」
鍋パが終わったあと、悠仁くんは片付けを手伝うと言ってくれた。
私の隣で皿洗いをする悠仁くんは、こう切り出した。
『どうしたの?』
虎杖「正しい死って何?正しさって何?」
『…。』
虎杖「すみません、答えづらいなら大丈夫っす。」
『いや、そういう訳じゃないよ。
…これが、悠仁くんの求めてる答えと私は思えないけど。』
虎杖「いいっすよ。」
『正しさなんて、ないよ。』
虎杖「…。」
『ごめん、失望したかな。
でもそう思わなきゃ、私はもう呪術師なんてやってられない。
私は、人を守るために呪術師になったの。警察官だった父さんに憧れてさ。高専に入ったばかりの頃は、正しい呪術師とは人を守る呪術師だと思ってた。』
虎杖「[思ってた]?」
『今日襲ってきた呪詛師は、私が去年祓った呪霊の仲間なんだよね。
その呪霊はね、私の両親は殺したの。
…つまり、何も守れなかったんだよね。
大切な人たちでさえ。』
虎杖「…。」
『だから、諦めた。人を守るなんて、所詮は理想論。実際、一握りの人間しか守れない。
道半ばで人間が死ぬのは、当たり前のこと。避けられようがないよ。
…だからさ、あまりこだわりすぎないでよ。
避けられない出来事を避けられないことを拒絶するのは、あまりにも辛いよ。
それでもいいなら、私は止めないけど。
悠仁くんの人生だからね。』
虎杖「…ありがとうございます。」
・
{五条Side}
『学長。』
鍋パーティーのあと、僕は学長の部屋に呼び出されていた。
夜蛾「悟。」
『何の話ですか?』
夜蛾「山谷浩介のことだ。」
『今日襲ってきた呪詛師ですか?』
夜蛾「ああ。話によると、禪院兄弟の仲間らしい。」
『奴らの目的は?また、僕とAを殺したいんですか。』
夜蛾「いや、[Aを殺す]と。」
『はあ…。Aのことを狙う奴が多すぎる。』
夜蛾「だから、術式使用の許可を出したのだが。」
『ただでさえ、昔から狙われてきたのに。』
..
夜蛾「このまま悟には、Aを狙う二つの集団を追ってほしい。」
. . . . .
『もちろんですけど、禪院兄弟じゃない方のことは言わなくていいんですか?』
夜蛾「…悟が良いなら言ってもいいが?」
『いや、やめておきます。』
…僕から、言えるはずがない。
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作者名:澪花 | 作成日時:2021年1月7日 19時