百七十歩目。 ページ21
―Aside―
「昼休み、イレイザーに呼ばれてるから先にでる」
『りょ！最近多いね〜、なんかあるの？』
「特訓の進み具合とかトレーニングとか、まぁ、あとはナイショ」
『恋人にかくしごとするのは浮気の可能性...』
「その偏った恋愛知識どうにかしろよ。ありえないから」
『学校の先生は教えてくれないもん』
「だろうな」
無事にちゃんと起きて登校。HR後の1限が始まるまでの休憩時間。
入学してからほぼ毎日一緒に食堂でごはんを食べてるんだけど、最近心操くんは早く食べて先にでていってしまう。
それもこれもぜーんぶ呼び出してる相澤先生が原因なんだが。
なんだ、密会か？？いや、私に言ってる時点で密も何もないけれど。それにしても頻度高くない？？
ごはんシェアしたり、デザート食べながらゆったりおしゃべりする時間が好きなんですよ、私は。
その時間を奪われていると言っても過言ではないので、相澤先生は一回くらい私にデザートおごってくれても良いと思う。
だって、心操くんと居れないのさみしい。
でも、心操くんにとって大事なことだろうから文句は言わないし引き留めたりもしない。
『だが！それとこれとは別なのである！！』
「急にどうした」
『心操くんぎゅーして！！』
「じゃあこっちおいで」
『ん！』
一緒の時間が減るなら一緒におれるときに充電しとけばいい話！
心操くんが椅子をひいてスペースを作ってくれたので膝の上に乗って抱き着く。
この体勢だと心操くんを包めるから好き。安心する。
恋人になる前は心操くんもちょっとだけ渋ってたけど、今思えば人前なのが恥ずかしかったのかな。
というか渋る心操くんにぎゅうしてたの図々しいな？？恥ずかしいも嫌って気持ちに近いのに。
『心操くん心操くん』
「なに？」
『ぎゅーするのいや？』
「は？何で？嫌ならしないよ」
『よかった！いやかもと思ったから』
「Aも嫌じゃないだろ？」
『うん。心操くん好き〜！』
「ん、俺も」
もう一つ、恋人になってから変わったこと。
私の『好き』に心操くんが「俺も」って返してくれるようになった。おまけに二人きりだと「好き」も付け足してくれる。
今までも「知ってる」とか「ありがとう」とか返事はあったし、無視されたことなんて一度もない。
まぁ、やさしい心操くんがそんなことするわけないんだけど！！
それでもやっぱりうれしいなぁと思う訳ですよ。
『好き』に「好き」が返ってくるのは"幸せ"だからね。
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2023年3月30日 22時
