百六十三歩目。 ページ14
ーAside―
ランチラッシュ特製おにぎりと味噌汁を食べた。最高だった。
ミスコンに出場するねじれちゃんを見た。妖精みたいで、きれいでかわいくて、感動した。
クレープ食べて、チョコバナナ食べて、ワッフルも食べた。
途中でＡ組の子たちに会って、心操くんが露骨にいやそうな顔をするから少し笑った。
ぶどうくんが心操くんに怯えてたのが不思議で心操くんに聞いても教えてくれなかった。
他クラスの出し物を見て回ったり、経営科のサポートアイテム体験で大爆発が起こったり。
色んなことを心操くんと楽しんで大満足の状態でＣ組に戻って透明人間になった。
午後もお客さんはたくさんで、友達に引きずられて来た天喰くんを驚かせたら気絶しちゃったのは申し訳なかったな。
あっという間に時間は過ぎてってもう文化祭も終わり。
各々がクラスの出し物を片付ける中、みんなにお願いして外に出た。
通形くんからの連絡を確認しながら駆け足で裏門まで向かう。
遠目で通形くんとみどりくんと相澤先生が見えて、怒られるの覚悟で思いっきり叫んだ。
『エリちゃーん！！！』
みどりくんの後ろからひょこっとこっちを見たエリちゃんに手を振れば、
「Aさん！」
満面の笑みで、元気で明るい声で、駆け寄って来てくれるから、うれしくて堪らなくて、私も自然に笑顔になった。
駆け寄ってきたエリちゃんを抱き上げてくるくる回れば楽しそうな声が聞こえて、ぎゅーっと抱きしめた。
少ししてエリちゃんをおろして私もしゃがんで、ほっぺを赤くして笑うエリちゃんがかわいすぎて頭を撫でた。
『今日どうだった？楽しかった？』
「うん！楽しかったよ！わあああってなってね、みんな楽しそうでね、わたしもわぁー！ってなったの！」
『そっかぁ、エリちゃんはずっとわくわくさんだったんだねぇ』
「うん！あ、でもね、Aさんといっしょだったらもっと楽しかったと思うの。だから、あのね、」
『うん、なぁに？』
「わたしね、知らないことがたくさんあるから、Aさんにもおしえてほしいの。おばけやしきもね、Aさんといっしょならきっと楽しいから」
きらきらした大きな瞳に真っ直ぐに見つめられて、少し困った。
エリちゃんがあまりにも私を信頼してくれるから。
私がエリちゃんに会いたかったのは、未来さんが命を掛けて最後に守った子だから。
もちろん会ってからはエリちゃん自身を好きになった。
けど、エリちゃんは知らない。
知らなくて、いい。
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2023年3月30日 22時
