百五十一歩目。 ページ2
―心操side―
帰りのHR後にイレイザーに呼ばれて今後の特訓についてだったりを30分くらい話した。
ナイトアイの葬儀の日は特訓なしだと言われていたから今日は話だけ。
だいたい話が落ち着いてきた頃にイレイザーの携帯に着信があってAが帰って来たと伝えられた。
イレイザーたち参列者は昼過ぎには解散したらしい。
Aはバブルガールやセンチピーダーと一緒にいて、全部終わったら帰ってくることになってた。
すぐにイレイザーと別れて寮に戻ればクラスメイトたちが困った顔をしながら俺を囲んだ。
「やっと帰ってきた！！」
「なに、どうしたの」
「要約すると"遮止のそばにいろ"！以上！」
「端折りすぎじゃね？そんな説明じゃさすがに心操も困るわ」
「言われなくてもそうするけど」
「悪い心操、今惚気聞いてる場合じゃないんだわ」
「あたしらが帰って来た少し後にAも帰って来たから話しかけたんだけどスルーされたんだよね。普段のAじゃありえない反応だし顔色も悪かったからめちゃ心配なの。でもAは自分の部屋に直行したから追いかけるのも違う気がしてさー」
「だから、遮止が一番懐いてるかつ彼氏である心操にどうにかしてもらおうってことになった」
「あぁ...」
サー・ナイトアイこと"未来さん"。Aの恩人で師匠で、親のような存在の人。
何度も彼の名前をAから聞いた。Aの言う未来さんとサー・ナイトアイが同一人物だと知ったのは中学の体育祭に短い時間だったけどナイトアイが来ていた時だ。
Aがあんなにも嬉しそうに飛びつく姿を初めて見たからすごく驚いたのを覚えてる。
プライベートは知られたくないだろうと思ったからAが帰って来るのを待ってた。
今思えばあの時話をすれば良かったな。礼を言える立場じゃないけど、Aの親御さんとして挨拶くらいしておきたかった。
直接目にしたのはあの時限り。Aから話は聞いても会う機会は無かった。
Aの大事な人だ。そんな人が亡くなって平気な訳がない。
現にあのAがクラスメイトに隠し通せてない。返事もしなかったってことは隠そうともしなかったんだろう。
「俺が行ってどうにかなるとは思わないけど、どうにかしてくるよ」
「頼んだ心操！」
「ん、行ってくる」
鞄を置きに部屋に入ったらししゃもがいないからAと一緒らしい。
ここ数日Aから連絡はなかった。
返事なかったらへこむけど、Aの方が辛い思いしてる。
「A、入っていいか？」
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2023年3月30日 22時
