28-灰鴉 ページ28
「グラナートは背丈はひとらんくらいやろ。ならコレとコレと、コレ合わせてな。次が軍曹、コレとコレどっちがえぇと思う？」
「右だな」
「んじゃあコレと、コレな」
兄さんに渡された衣服を抱えて試着室を出入りする警邏部隊司令官のA・グラナート・バグローヴィ。特にする事の無い俺は適当に相槌を打ちながらも彼等を観察している。
「あの、兄様、軍帽だけは……どうかご勘弁ください」
「えぇやん。あ、ハゲとる、とか？」
「いや、そういう事ではないのですが……」
「どうした？」
「グラナートが頑なに軍帽脱がんねん」
誰や警邏部隊司令官を小動物レベルにまで萎縮させたヤツは。貸し切りにして店員も会計するまで引っ込ませているとは言え、頑なに軍帽を取らないグラナート。理由があるなら言えば良いのにと思う反面、可哀想になってきた。
「兄さん、程々にしとけ。いくらなんでも幹部権限は狡いぞ」
「やけどな〜」
「いいです、絶対に口外しないと約束してくれるなら、あの、図々しいかもしれませんが」
「無理強いはせん。嫌なら幾つか帽子を見繕えは良いだけや」
意を決して、軍帽を外したグラナートに目を奪われた。ゆっくりと解けて落ちていく暗い赤の長髪。これを隠すために頑なに軍帽を外さなかったのか。
「こらまた随分と伸ばしてたんやな……願掛けか？」
「願掛け、と言われると曖昧なのですが、一度だけ会った人に褒められて、次逢うときまでに伸ばしておこうと」
ぽつぽつと理由を語るグラナートに俺達二人は黙って耳を傾ける。男が髪を褒められて伸ばす事は別に人の勝手やけど、グラナートは意地でも隠そうとしていた。何故？女々しいと言われるからか？
結局この日は兄さんが振り回す形で何件か服屋を渡り歩いたが、購入した衣服は袋に入れ、グラナートは正装のままだった。
兄さんが試着して気に入った物を全て購入し与えて、またグラナートが可哀想になったが。
──────
兄さんと軍曹さんのキャラが掴めん……。
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紅鴇ﾍﾞﾆﾄｷ＠pc垢 - ミツユキさん» 誕生日プレゼントとしてもう一話更新しました！大きく動いた回(?)となっております！ (2020年7月6日 22時) (
レス) id: a79284f49c (このIDを非表示/違反報告)
ミツユキ - 更新ありがとうございます。私の、最高の誕生日プレゼントになりました！ (2020年7月6日 18時) (レス) id: c04652f79c (このIDを非表示/違反報告)
紅鴇ﾍﾞﾆﾄｷ＠pc垢 - わぎゃあコメントありがとうございます!!コメント嬉しすぎて語彙力追い付かないです。現時点が今作一番の山場ですが、しっかりとハッピーエンドに向いますので！それまでもう暫くお付き合いくださいませ！ (2020年7月5日 22時) (レス) id: a79284f49c (このIDを非表示/違反報告)
碧 - コメント失礼致します。とても丁寧に作り込まれたお話で、私の語彙力ではこのお話の素晴らしさを言い表すことが出来ません…！軍パロ作品の中でも特に繊細に作られたお話だと感じました。これからも素敵なお話を楽しみにしています！長文失礼致しました。 (2020年7月4日 17時) (レス) id: 7cbe04ba0e (このIDを非表示/違反報告)
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