03-開幕 ページ3
我が国の軍に正式に入隊する際、所属部隊の希望を３つまで出せる。もっぱら倍率の高いのは「軍の花形」と呼ばれる近距離、遊撃、狙撃、騎兵。その次は暗殺、監視室、拷問という表舞台には立つ機会の少ない部隊。完全に裏方の爆弾製作、観光客育成、情報管理、物資調達、そして書記官と外交官、医療部隊も同等に一定の倍率を保っているが、唯一、不人気と呼ばれる部隊がある。
「警邏部隊」と呼ばれる、戦争から外された部隊。
仕事内容は国内の警邏活動、戦争時の国民の誘導、国民同士の諍いを納め、入出国管理、観光客の取り締まり、国民の意見を聞き、上に報告する。
花形ではないが、国に貢献している事に変わりは無い。だが軍の中では最下層の扱いを受ける事もある。その警邏部隊の部隊司令官の名は、A・グラナート・バグローヴィ。十八で入隊しその年の最高得点を叩き出し、若くして警邏部隊司令官にまで上り詰め、幹部補佐をも兼任する程までに出世したとされる。
そんな彼には、ある逸話がある。
「自室として個室を、お願いしたい」
「理由は？」
「希望に理由は不要だと聞いたのですが」
「いや？ただの興味だ。わかった、半地下になるが、個室を用意しようではないか」
毎年、入隊時に総合一位だった者は一つだけ希望が出せる。歴代の一位入隊者では前例の無い「個室の希望」。ほとんどが金銭面や地位に関する優遇を求めていたが、彼は一切求める事は無かったという。理由を尋ねられれば大半は聞いてもいない事をべらべらと話し続け、自分がいかに優遇されるべきかを雄弁に語る。
一般兵は集団生活の一環として相部屋となっているが、彼は個室を希望した。異色と言えば異色だが、特に言及されること無く半地下の個室を自室として与えられた。
これは、そんな逸話のある我が国の警邏部隊司令官の物語である。
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紅鴇ﾍﾞﾆﾄｷ＠pc垢 - ミツユキさん» 誕生日プレゼントとしてもう一話更新しました！大きく動いた回(?)となっております！ (2020年7月6日 22時) (
レス) id: a79284f49c (このIDを非表示/違反報告)
ミツユキ - 更新ありがとうございます。私の、最高の誕生日プレゼントになりました！ (2020年7月6日 18時) (レス) id: c04652f79c (このIDを非表示/違反報告)
紅鴇ﾍﾞﾆﾄｷ＠pc垢 - わぎゃあコメントありがとうございます!!コメント嬉しすぎて語彙力追い付かないです。現時点が今作一番の山場ですが、しっかりとハッピーエンドに向いますので！それまでもう暫くお付き合いくださいませ！ (2020年7月5日 22時) (レス) id: a79284f49c (このIDを非表示/違反報告)
碧 - コメント失礼致します。とても丁寧に作り込まれたお話で、私の語彙力ではこのお話の素晴らしさを言い表すことが出来ません…！軍パロ作品の中でも特に繊細に作られたお話だと感じました。これからも素敵なお話を楽しみにしています！長文失礼致しました。 (2020年7月4日 17時) (レス) id: 7cbe04ba0e (このIDを非表示/違反報告)
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