革命都市の夜に。

# 5 ページ6

「ん、そーいやさ」

橘がドリンクと共に頼んだスコーンを頬張りながら話を持ち出す。

「こら、飲み込んでから話しなさいな」
「ふぇい」

みんなのお姉さん、向坂伊緒の出番である。

「で？なにさ」
「最近多発してるじゃないですか」
「何が？」
「誘拐事件」
「あーね」
「革命都市も随分治安が下がったもんですなあ」
「うんまだ作られてそんな経ってないけどね？」

橘は抹茶クリームフラペチーノを一口飲んで、話を続ける。

「皆さん革命都市全域を頭に思い浮かべて下さい。最初に事件が起こったのは？」
「えっと...花学区第4地域(はながっくだいよんちいき)だっけ」
「いやなんで梨紗把握してんだよ」
「あーほら、お父さんが公安機動局(パブリックエレメント)の構成員だからしょっちゅう言われるんだよ...」
「なるほど納得」
「で、何の話だっけ？」

伊緒がゆったりとバニラクリームフラペチーノを一口飲んで、話を促す。

「誘拐事件の話。最初に誘拐事件が起きたのは花学区第4地域でしょ？で、段々と事件現場は移動していって同じ花学区の第5地域でまた起こったわけ。で、また第6地域第7地域に移動して、第8地域に移動するのかと思ったら...」
「鳥学区第4地域(とりがっくだいよんちいき)だっけ」

梨紗がまたも情報提供。
柚希と伊緒は黙って話を聞いているばかりで何も口を開こうとしない。妙な空気が4人を包みかけている☆バックス2階席。

「そう、鳥学区。鳥学区でも第4地域から第7地域で多発して、」
「風学区第4地域(かぜがっくだいよんちいき)...」
「そのとおり。風学区も第4地域から第7地域で多発してる訳。で、更にここ、月学区でも起こってるでしょ？...例の通りに」
「第4地域から？」
「そう。今現在、第6地域では既に事件が起こってる。ここまで来るともはや偶然とは言い難いなあと思って」
「むしろ意図的なのかもね。おーこわ」
「あ、この前の物理のテストさあ」
「いやおい何話ぶった切ろうとしてんだ伊緒」
「え？」
「大事なのはここからでしょうが」

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