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「これ、ホワイトデーのお返しな」

「へ……?」

紙袋の中身を覗いてみると、有名なブランドのロゴが刻まれた箱が中に入ってあって、思わずびっくりして先生の顔を見上げると彼は「しー」と口に人差し指を当てて笑っていた。え、いや何その顔かっこよすぎますけど。

「え、先生、あの……私今年のバレンタインなんにも先生にあげてませんよ……?」

まぁ去年もあげてないようなもんなんだけも、今年の受験シーズン丸かぶりバレンタインデーに至っては何も作れなかったのだ。

なのになんでこんな高級品を私に渡すんだろう。

「んー、まぁ合格祝いも兼ねてみたいな?えーから貰えるもんは貰っとき」

「で、でも」

「それに」

丸椅子に座っていた私にじりりと詰め寄り、壁際まで追い詰めると私の隣へと静かに手をつき、そのまま口元に大人の余裕たっぷりの笑みを浮かべる先生。

さっきまでのふざけた態度はどこか彼方。ほんの少し上から私を至近距離で見下ろす先生に、私は目を奪われっぱなしで。

「こっからお前に色々貰うから、前金くらい必要やろ?」

そう言った先生は私のシャツのボタンに手をかけて、そのままぷちん、ぷちん、と一つずつ上から外していく。待って、の言葉も彼の手に塞がれてしまった。

「制服、邪魔。もうお前は俺の生徒やないで」

シャツの下に着ているのは黒い防寒用のインナーだ。そのインナーに指を引っ掛けて少し落とされ、そのまま少し露になった肌に先生の唇が落ちる。息を詰まらせて泳がせた手を先生の袖に落ち着けようとすると、その手すら払われてしまった。

待って、ちょっと待って!

「せ、……せんせい」

「だーかーら、先生ちゃうって。先生とちゃうから、……優しくできん」

指から離れた先生からのお返しの袋。

なんのお返しかも分からない。先生の吐息が近くで響いてる。暖房の起動音が邪魔で、素の体温にとろりと触れる人工的な熱気に肌が膨らむような感覚。

先生の唇。先生の体温。

「せんせ、好き……」

「……うん」

「先生は?ねぇ、わたし、先生から1回も、好きって言ってもらってない」

「……」

「お返し、ちょうだい……せんせ」

ブランド品なんて欲しくない

欲しかったのは一つだけ

いつだってそう。私が欲しかったのは、先生の、たった二文字だけのシンプルな言葉なんだよ。

それ以外欲しいって思ったことなんて、本当にないんだよ。せんせい。

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雨上がりのcrew(プロフ) - ところで、甘味没収のときのセンラさんは夢主ではなく他の人と結婚をしていたのでしょうか、、、?隠し持っていた結婚指輪と書いてあったので、、、 (2019年7月16日 0時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すごい。。。この作品私得←これからも更新頑張ってください!! (2019年7月16日 0時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者一同 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年7月15日 14時

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