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言ったことをしっかり守るいい子の莉犬くんが、なんで敷地の外に出ちゃったんだろう、って思ってた。
外になにも用事はないはずなのに、全部私に頼んでくれればいいのに、って。
…私に、サプライズプレゼントを準備してくれたんだね。

「私のため」「私のために莉犬くんは」
頭をぐるぐる回って離れない。

私の、せいなんだ。
いつまでもずうっと一緒って言ってくれたのに。
一緒にいられなくしちゃったのは私。


少し血がにじんだ手紙を拾い上げて、何度も読み返す。
視界がぼやけて、透明なシミがたくさんできて。
それでも、読み返す。

絶対離れないって言ったのに。
ごめんなさい。
ごめんなさい。


全身血まみれになってしまった莉犬くんを、そうっと抱きしめる。
ああ、冷たくなってしまっただけで、いつもの感触だ。


それから、箱の中でぴかぴかと光っているチョコレートに手を伸ばした。
真っ白な箱に私の手が当たって、スポイトでこぼしたみたいにじんわりと赤く染まる。

莉犬くんが命と引き換えに私に遺してくれた、チョコレート。
名残惜しいしもったいないのに、なぜか吸い寄せられるようにして一つ口に入れてしまった。

ふわっと鼻に抜ける甘ったるい匂い。
これは、莉犬くんの愛情の味なのかもしれない。
口の中で、チョコレートがどろどろと溶けていく。
全てじっくり味わうと、ごっくんと飲み込んだ。

まだ余韻が残っている。
余韻をじっくり味わう。

手についた血の味。頬を伝って口に入った涙の味。甘い甘いミルクチョコレートの味。
全部、全部を飲み込んだ。


大雨の後の水たまりみたいに大きな血だまりに、がくり、とまた膝をつく。
足ががくがく震えて動かない。
こんなに悲しくて、こんなに泣いたことはないから、仕方がないことなのかもしれないけれど。
いつの間にか、足だけでなく手の力も抜けてきた。



…あれ?
いくらなんでもこれはおかしい、とやっと気づいたのは、
全身から力が抜けて真っ赤なアスファルトに倒れこんだときだった。

力を入れようと思っても体が動かない、起き上がれない。
まるで金縛りにあったみたいに身動きが取れない。

しばらくすると、手足が少しずつけいれんしてきた。
意識してもないのにぴくぴく、と動く体。

ふと、開発中の毒を投与した後、体をけいれんさせて死んでいった実験用マウスたちを思い出す。
毎日のように何度も何度も見た、あの動き。
自分の体ではないように動く私の体は、同じ動きをしていた。

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雨上がりのcrew(プロフ) - ところで、甘味没収のときのセンラさんは夢主ではなく他の人と結婚をしていたのでしょうか、、、?隠し持っていた結婚指輪と書いてあったので、、、 (2019年7月16日 0時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すごい。。。この作品私得←これからも更新頑張ってください!! (2019年7月16日 0時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者一同 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年7月15日 14時

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