風柱の継子兼専属医【鬼滅の刃】 (ページ33)

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33話ページ33

千尋は鬼殺隊士が故、家を開けることが多かった。しかし、帰ってくる度に何かしらの土産を買ってきたり、非番の日にはヒナタが困らないよう、読み書きや炊事、洗濯、裁縫の仕方、暴漢が襲ってきた時の対処法を教えたりと、家族同然のように接した
ヒナタも千尋の事を本当の姉のように慕い、裕福では無いものの、前の家では感じたことがない幸せに満ち溢れていた。しかし、運命とは残酷なもので、幸せは長くは続かなかった

ガタンッ

『ん…?誰か来た…?』

千尋が任務で家を開けているとある日の真夜中、引き戸が開く音がした。ヒナタは寝ぼけながら起き上がり、玄関の方へ向かうと、そこには大怪我をし、座り込んでいる千尋が居た

『千尋さん!?どうしたんですか!?』

今まで怪我をして帰った来たことのなかった千尋にヒナタは驚き、慌てて駆け寄ったと同時に、千尋が唸り声を上げて襲いかかって来た

千「ウガァァァァァァァ!!」
『!?』

ヒナタは額に怪我を負ったものの、咄嗟に身を引いたことで浅く済んだ。そして、千尋に再度目を向けると、そこには既にヒナタの知っている千尋はおらず、ただ飢餓状態に陥った鬼が居た

『千尋さん!!しっかりしてください!!』
千「ｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞ!!」
『うわっ!?』

必死に呼びかけるが、千尋に意識は無く、只管ヒナタに攻撃を加えようとする千尋。このままでは自分が殺される。そう思ったヒナタはある事を思い出した。それは万が一、家に鬼が入ってきた時の対処法

(これしかない!!)

ヒナタは隙を見て竈の近くに立て掛けてあったある物を掴み、鬼となってしまった千尋に向かう

『水の呼吸壱ノ型水面切り!!』

ヒナタが手にしたのは日輪刀。それはあくまで、護身用として千尋が家に置いていたもので、ヒナタは呼吸を教わったことがない
にも関わらず、ヒナタの体は自然に動き、呼吸を遣って千尋の頚を撥ねた

「お、おい!!すんげえ音がしたが、何があっ…!!」

そして運悪く、近くに住む村人が駆けつけ、額から血を流し日輪刀を握っているヒナタと、頚を撥ねられた千尋を発見
ヒナタは人殺しとして、その村の屯所へと連れられた