25話-杏寿郎side- ページ25
一瞬、何が起きたのか分からなかった
理解した時には、列車の中で会った鬼殺隊士の女性が俺を庇い、その体に上弦の参の腕が貫かれていた
猗「お前…」
「杏寿郎!刀を振るえ!!私が力尽きる前に!!」
杏「…!!」(ドッ
猗「かっ…!!」
そう言われ、ありったけの力で奴の頚に刀を振るう。鬼は腕を抜こうとするが、女性が抜けぬよう強く掴んでおり、逃げることは出来ない
猗「このっ…!!」
「…!!」(ガッ
杏「!!」
驚くことに、女性は腹に鬼の腕が貫通しながらも、更に攻撃を加えようとした腕を掴んで止めた
「逃がすもんか!!お前をここで!!」
猗「オォォオオオ!!」
杏(ここでこいつの頚を切り落とさねば!!)
猗「離せぇぇぇぇ!!」
刃が鬼の頚の半分ほどまで入り、それと同時に猪頭の少年が応戦に入った
間もなく夜が開ける。万が一、頚を斬れずとも奴は体が朽ちる
勝った。そう思った
バキンッ
しかし、そう簡単には行かなかった。奴は刀をへし折り、自身の腕をちぎって逃げ出した
杏「何!?」
炭「このっ…!!」(ブンッ
それにすかさず竈門少年が自身の日輪刀を投げて突き刺し、こう叫んだ
炭「逃げるな、卑怯者!!逃げるなァ!!!
いつだって鬼殺隊はお前らに有利な夜の闇の中で戦ってるんだ!!生身の人間がだ!!
傷だって簡単には塞がらない!!失った手足が戻ることもない!!
逃げるな、馬鹿野郎!!馬鹿野郎!!卑怯者!!
お前なんかより、煉獄さんの方がずっと凄いんだ!!誰も死なせなかった!!ヒナタさんもお前の攻撃を素手で止めて見せた!!
戦い抜いた!!守り抜いた!!お前の負けだ!!
煉獄さんとヒナタさんの勝ちだ!!」
そこでやっと気づいた。この女性は、ヒナタであると
普段、面をしていることに加え、額には大きな痣があると聞いていたことから気づかなかった
『杏…寿郎…』
杏「ヒナタ!?」
『素顔…見せるのは、初めて…かな?』
杏「そんな事はどうでもいい!!喋ってはダメだ!」
『し…配ないよ…寝てれば…すぐ治る…』
安心させるためなのか、途切れ途切れに冗談を言うヒナタ。素人目で見ても、とても助かるとは思えない
杏「そんな冗談、面白くないぞ…」
『あはは…本当なのにな…』
炭「ヒナタさん!!」
『炭治郎…。君に…伝えておきたいことがある…』
炭「ダメです…喋らないでください…」
『私はしばらく眠ってしまう…。だから、今伝えておく…。私は…君だ』
炭「…え?」
『杏寿郎…炭治郎に炎柱の…手記を見せてやって…ほし…』
ヒナタはそう言い残し、目を閉じた
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作者名:ホタル | 作成日時:2020年1月31日 0時