第五話 ページ5
「そうですね、おそらくは異能の類いです」
でも、それがどうしました?
なんて妖艶な雰囲気を全面に醸し出し、形の良い唇は弧を描き余裕の表情を浮かべる。
背中がぞく、と震える。ゴーゴリは男ながらもその顔に見惚れた。
「あーあ、レイ君ご愁傷様」
「…?」
こんな魔人に目を付けられるなんて。
ゴーゴリは一つ深い息を吐き、パッと笑って友人の頬に指を刺した。
ドストエフスキーは少しイラついた顔でゴーゴリを見る。地味に痛いからやめてほしいと言う。
「ねえドス君。レイ君の居場所分かるの?さっきから全然横浜から出ないじゃない!!」
「確かにレイさんは横浜にいませんが、彼はもう直ぐでここに来ますよ」
「???ちょっと私よく分からない!!!」
「僕が彼の周囲を操作して、彼をここに呼びました」
「え〜!!なんでもやるじゃん!!……それでこそドス君!!」
レイを誘導して家を借りさせ横浜に住まわせる。側から見れば詐欺にも変わりないが、これは全てレイを想うドストエフスキーなりの行動だった。
狂ってるとかなんとか、なんとでも言えばいい。レイを手に入られるなら、というか今までもそんな言葉気にしたことなかった。
「ふふ…褒めても何も出ませんよ」
「なんかいつものドス君じゃない!!!」
鬱陶しいくらい色とりどりの木の葉が落ちて来る情景も、ドストエフスキーとレイの事を祝福してくれているのだと思えば、苛立ちも消えてなくなる。
存外、悪くない。
「_ああ、レイさんが来ました。早く行きましょう」
一瞬風が強く吹き荒れ、落ち葉が大量に空へと舞う。その光景に目を細めながらドストエフスキーはゴーゴリに声をかけた。
どうやって分かった?とか、どこにいるんだ?とかはいちいち聞かない。ドストエフスキーが「行く」と言ったら後をついて行って、「いる」と言ったらどこにいようが関係ない。
ゴーゴリは楽しそうに声を上げてドストエフスキーについて行く。
「やっとかい!ハハハーハ!!レイ君はどんな反応をしてくれるのかな!!」
「楽しみですね」
この感情はひどく醜いものだと自負している。誰もが聞けば誰もが「異常だ」と言うだろう。
けれどこんな想いも、全部を「恋」なんて言う言葉に収めて仕舞えば美談だと言う。
日本はこれだから良い。
ドストエフスキーはすぐに会えるであろう彼に、最初はどんな言葉をかけるべきか。と考える。
今行きますよ。
レイさん。

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第二の羊羹(プロフ) - 百華夜さん» 百華夜さんコメントありがとうございます!!わわわ、とても嬉しいです!!羊羹照れちゃう((()。ごめんなさいいらないの分かってましたごめんなさいっ。これからも更新頑張ります!ありがとうございます〜!! (2023年7月16日 23時) (レス) id: f348b0afa9 (このIDを非表示/違反報告)
第二の羊羹(プロフ) - 。さん» 。さんコメントありがとうございます〜!ほんとですかっ。その言葉が何より嬉しいです!励みになります!! (2023年7月16日 23時) (レス) id: f348b0afa9 (このIDを非表示/違反報告)
百華夜(プロフ) - 序盤?だけで凄い物語を繰り返し読めるこの面白さ!ドスくん可愛い!!ゴーゴリくんも可愛いよ!!お体に無理せず頑張ってください!応援してます!! (2023年7月16日 18時) (レス) id: 4a0468ad2f (このIDを非表示/違反報告)
。 - めっちゃ面白いですね!続きが気になります!!更新頑張ってくださいっ!応援してますっ!! (2023年7月16日 17時) (レス) @page5 id: 26c600857a (このIDを非表示/違反報告)
第二の羊羹(プロフ) - 黒灰白有無%さん» うわわわわコメントありがとうございます!!!!実はその作品のパスワードを忘れてしまって…更新もできない状態で……お恥ずかしいです、、、。ありがとうございます励みになります!!!! (2023年7月16日 10時) (レス) id: f348b0afa9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:第二の羊羹 | 作成日時:2023年7月10日 20時