アメジストを守る黒曜石 Ⅱ (ページ4)

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第48話いっしょうけんめいページ4

【イザベラside】

私の目を決して逸らさず必死に訴える。

まるで視線だけで私のことを殺そうとしているよう。

────滑稽ね

心の中でそんな言葉を零してクスリと笑えば、レイは「何がおかしい」と牙を向けてくる。

これ以上はレイを刺激するだけね。

「いいえ、突然笑ってごめんなさい。けど安心して、“約束”はちゃんと守るから」

「本当だよな？」

「えぇ。それも条件のうちですもの」

「…………」

私はレイの目を見て微笑むけど、レイは信じてないのか私を睨みつけるばかり。

すると、レイは睨むのに疲れたのか大きなため息を吐いた。

「もういいよ、疑ってごめんママ」

「いいのよ。残り少ない時間、しっかり働いてね」

「……分かってる」

そう吐き捨てて、レイは先に出ていった。

不機嫌なレイの背中を見送って、私も部屋を出ていこうとドアを開けた時、人影がうつった。

「──！」

咄嗟のことに驚いて少し後ろに退いた。

けど冷静になってよく見ると、

「ママ！」

「A……」

綺麗な紫色の瞳をキラキラと輝かせながら笑ってるAが立っていた。

安堵の気持ちからか、私の口からはホッと息が漏れて、表情もさっきまでの“飼育監”ではなく、優しい皆の“ママ”になる。

「びっくりしたわ、一瞬誰だか分かんなかった。それで、どうしたの？すごく嬉しそうね」

「うん！あのねあのね！お庭にママが大切なね！あのね……！！」

「もう、慌てないで落ち着いて」

同じ背丈程に屈み、興奮しながら話すAの肩に手を置き落ち着かせる。

Aはゆっくりと深呼吸を繰り返した。

胸に両手を当てながら必死に落ち着こうとする姿がとても愛らしくて、思わず抱きしめたくなる。

昔から面倒見がよくて、私が忙しい時は代わりに子供たちを見てくれるいい子なんだけど、一生懸命すぎて空回りして、逆に心配になっちゃうのもしばしば。

ドジでおっちょこちょい、でもいつも真っ直ぐで慈愛に溢れてて。

11歳なのにどこか幼さが残るA。

私はそんなAが大好き。

────そう、大好きなの

(？ママ？)
(……！ああ、ごめんなさい、ちょっとボーッとしちゃったわ)
(えへっ、大丈夫だよ！それよりねママ！ママに見せたいものがあるの！ついて来てー！)
(えっ？ちょっとA……！？)