アメジストを守る黒曜石 Ⅱ (ページ26)

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第70話がけページ26

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11月3日。金曜日。

いつも通りの朝だった。

ご飯を食べてテストを受けて。

“幸せな孤児院”

全ていつも通り。

弟妹(みんな)も。

ママも。

俺達も。

「大丈夫、うまく行く」

今日、ノーマンは消える。

発信器の信号はなくなる。

全部計画通りだ。

────ノーマンは絶対に捕まらない

必ず隠し通す。

出荷なんてさせない。

それなのに、なんで……。

なんで戻ってきたんだノーマンｯｯｯ！！！！

「ここにいりゃ死ぬんだぞ！今すぐ逃げろ！！姿消せ！！」

「嫌だ。逃げるつもりはない」

懇願に近い形で正装に着替えたノーマンの胸ぐらを掴む。

が、ノーマンの口から出たのは否定。

冗談でも嘘でもない、本気の目。

……はっ？

「それより聞いてほしい。時間がない────」

ノーマンは紙とペンを取りだし、エマと俺は下見の報告をただ聞いていた。

塀の向こうは“崖”。

それも飛び降りられる高さではない程の。

塀に沿って端まで行くと二股に分かれていて丁度60度ずつ。

片側は断崖、二股の塀の内にはまるで対称……そっくり同じ景色が広がっていたとノーマンは語る。

「つまりこういうことなんだ……」

ここ、グレイス＝フィールドは崖の真ん中に創設された六角形。

本部と5つの飼育場(プラント)……計6つの区画は兵を挟んで隣同士。

第3プラント(ここ)の真西にあたる区画だけ橋があったことを考えると、そこが本部。

────“逃げるなら橋から”だ

ここまで説明をした時、ドアがノックされた。

ゆっくり開き、そこから顔を出したのはフィルとA。

「ノーマン、ママが呼んでるー」

「今行くって伝えて」

「うん、分かった」

「じゃあ先行こっか」とAがフィルを抱き抱えると、フィルは「すぐ来てねー」と手を降り2人は部屋を出ていった。

「っ……」

「……？」

去り際にAと目が合ったかと思うとすぐに反らされたのは、一体どういう意味があったんだろうか。

これの答えはやがて知ることになる。