アメジストを守る黒曜石 Ⅱ (ページ39)

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第82話だつごくページ39

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深夜０時を告げる鐘が鳴る。

これで俺は12歳。

俺はこの身を犠牲に計画を成功させる。

はずだった……。

「おまたせ。みんなちゃんと発信器壊した？」

「うん！」

「エマ、耳の手当を……」

「ありがとう、後でお願い！でも今は急ごう────」

「さぁ逃げるよ！」

エマに着いて行って森に逃げれば、そこにはリュックを背負った皆がいた。

ドン、ギルダ、ナット、アンナ、ラニとトーマ……

9歳未満の弟妹も、全員いる。

────どういうことだ！？

こいつらグル？

全部バレてた？

“ノーマンの計画”？

今、何が起こっている?

何が何だかほんとにわかんなくて、塀に走りながら近くにいるドンに問い詰める。

「……どういうことだ？こいつら全員知ってんのか！？ハウスの正体も……逃げることも」

「おう」

「なんで……！」

「話したんだよエマが」

「は……！？」

エマが……話した！？

「逃げる上でも危険を知って自分の意志で脱獄に加わって貰った方がいい。それにママは最年長以外警戒していないから隙は突ける……ってな！」

「だから最初は4人」とドンは全部話した。

ノーマンとエマがシスターの部屋に行った夜を利用し、そこから残りの弟妹も2ヶ月かけて少しずつ引き入れて。

そんな前から準備をしていたなんて知らなくて驚愕する。

俺が死ぬのを知ってた上でここまで念入りに。

ってことは────

「Aにも話したのか？」

だから、全部知ってたのか。

ふとそんな考えが浮かぶ。

それと同時に“期待”もした。

あの日の出来事も、こいつらの作戦だったんじゃないのかな……なんて。

この2ヶ月避けられてたのも全部演技で、全て終わればAは俺の元に戻ってきてくれる。

“また一緒に笑いあえる”んじゃないかって。

……いや。やめよう。

もしこの仮説が本当だとしても、Aに辛い思いをさせていたことは変わらない。

どんな形であれ、俺はAを傷つけた。

その罪は変わらない。

その癖俺はどこまで腐ってるんだろうか。

なんとも言えない感情を抑えて返事を待てば、急にドンは足を止めた。